偏差値重視の親が知らない「食える力」の教育 2020年、教育界の「関ヶ原の戦い」が勃発する
プログラミングの必修化だけではない。小学3年生への英語必修化の早期化、高校における数学と理科を統合した「理数探究」の新設など、2020年度を機に小学校から大学までの公教育は、方々で変化を迫られる。
ただ、最大の変化の波は2020年度の大学センター入試廃止である。
文部科学省の「高大接続システム改革会議」は、2016年3月に示した最終答申でセンター試験廃止の方針を公表。既存のマークシート方式のセンター入試に替わり、2020年度以降に導入される新「学力評価テスト」(仮)では、記述式問題が加わり、記憶力より思考力を試す傾向が強まる。
高校段階では「基礎学力テスト」を実施。将来的に入試に採用される可能性も指摘され、詰め込み型の既存の学力は、「どの学校でも、いつでも」入試を受けられるようになるかもしれない。
高まる学力熱
こうした改革の狙いは、文科省が推進してきた従来型の詰め込み式教育から、思考力・表現力を重視する21世紀型教育への移行である。すでに小・中学校については国際学習到達度調査「PISA」の点数・順位などを見ても、改革の効果が上がっているとの指摘は多い。
一方、改革の遅れが指摘される年代がある。高校である。高大接続システム改革会議の答申においても、「知識の暗記・再生に偏りがち」「真の学力が十分に育成・評価されていない」など辛らつな言葉が並ぶ。
「結局、大学入試が変わらないから、高校教育も変わらなかった」。教育改革の旗振り役で、奈良一条高校の校長を務める藤原和博氏はそう語る。
高校教育が変わっていないのは、今も続く学力ブームが示している。文科省はかつて「生きる力」育成を旗印にゆとり教育を推進。2000年代初頭はゆとり教育のピーク期で、既存科目の学習内容を3割削減したり、既存科目の学習ではない「総合的な学習の時間」を創設したりした。
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