安倍首相の狙いは「2018年夏ダブル選挙」だ 改憲実現へ「衆参3分の2」の維持を重視

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都議選を理由に通常国会の大幅延長は想定されていないため、政府・与党は9月末か10月初めには臨時国会を召集する考えだ。その場合、首相が臨時国会での解散断行に「色気」を示せば、与野党の改憲協議は停滞し、18年春の国会による改憲発議も絶望的となる。

しかも、自民党の全国情勢調査などでは「次回衆院選では自民党が30~50議席減」(自民選対)との予測もあり、解散断行によって衆院の改憲勢力は3分の2を割り込み、早期改憲発議自体が困難になる可能性もある。となれば、首相が今秋解散を見送って、「衆参3分の2」を維持したまま来夏の改憲国民投票に合わせての解散・衆院選という「ダブル選」日程が"本命"として浮上してくることにもなる。

高支持率維持なら任期満了も選択肢に

首相は1月5日夕の時事通信グループの新年互礼会の挨拶で解散について「今年は全く考えていないとはっきり申し上げておきたい」と発言した。居合わせた二階幹事長や山口那津男公明党代表ら政府与党幹部の表情は変わらなかったが、同夜に首相周辺が「首相から『今年ではなく、今月の言い間違いだった』と聞いた」と解説したことで新聞各紙は「首相、年内解散を否定」とは報道せず、「首相が言い間違い」とする囲み記事でお茶を濁した。

ただ、永田町では「解散時期について首相が言い間違うはずがない。思わず本音が漏れただけ。軌道修正は自民党議員が安心して選挙活動をなまけないようにするため」(自民長老)と解説する向きが多い。

政府・与党内には来年の解散について「追い込まれ解散になりかねない」との危惧もある。しかし、内閣支持率が6割前後をキープし、自民党支持率も4割前後という状況が続けば、「任期満了が迫っても安倍政権が追い込まれることはない」(公明党幹部)のも事実。もちろんトランプ政権の暴走やアベノミクスの失速といった政局運営の不安要素は少なくないが、「"安倍1強"が続いていれば、あえて解散せずに過去1回しかない任期満了選挙も有力な選択肢」(自民長老)との声も出始めている。
 

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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