安倍首相の狙いは「2018年夏ダブル選挙」だ

改憲実現へ「衆参3分の2」の維持を重視

首相は1月6日には「予算の成立に全力を尽くす。その間は解散の『か』の字も頭に浮かばないだろう」(NHK番組録画撮り)と述べた。会期内解散には含みを持たせた発言だが、与野党幹部は「政局の焦点は7月の東京都議選」(民進党幹部)と口をそろえる。

というのも、都議選を極めて重視する公明党が「都議選前後の解散には絶対反対」を強く主張する一方で、衆院定数10削減のための「区割り案」が5月連休前にもまとまる予定のため、それを受けた公職選挙法改正案などが国会に提出された段階で「通常国会での解散は政治的にあり得なくなる」(自民幹部)からだ。年明けの「解散は秋以降」との報道はそうした政治日程を踏まえたものでもある。

そこで注目されるのが首相の解散戦略だ。前回の「増税先送り解散」は、ひそかに狙っていたもので、結果的に「自民圧勝」で現在の"1強"体制の確立につなげた。しかし、昨年6月の「増税再先送り」の際には、大方の予想を裏切る形で会期末解散には踏み切らず、日ロ外交をテーマとした今年の年明け解散も見送ったことで、解散断行のタイミングは絞られてきた。現在の衆院議員の任期満了は2018年12月13日。政治日程を考慮すると、首相の選択肢は大別すれば①2017年晩秋②2018年初夏③2018年晩秋、の3つとなりそうだ。

さらに、より長期の政治日程に重ね合わせると、首相の政権戦略と解散時期との関連も浮かび上がってくる。最大のポイントは首相の自民党総裁3選だ。2期6年の任期が切れる2018年9月には総裁選が実施されるが、3月5日の自民党定期党大会で総裁任期が「連続3期9年」に延長されることを受けて、「首相が出馬すれば3選は確実」(自民幹部)というのが現時点での永田町の常識だ。そうなれば首相にとって第1次と合わせた「9年8か月の史上最長政権」という金字塔も現実味を帯びる。その場合の首相の任期満了は2021年9月で、次回も含めて2回以上の解散断行のチャンスが出てくることにもなる。

憲法改正で来夏の国民投票実施を狙う

こうした首相にとって「遠いゴールを見据えての解散戦略」(首相周辺)の中核となるのは「在任中に成し遂げたい」と明言した憲法改正の実現だろう。昨年7月の参院選での与党圧勝でいわゆる「改憲勢力」が衆参両院で3分の2を超え、数の上では衆参両院での憲法改正発議が可能な状況となった。このため、首相は衆参両院の憲法審査会での改憲条項の早期絞り込みに強い期待を表明し、二階幹事長も「今国会での発議」にまで言及した。

ただ、昨年秋にスタートした憲法審査会での各党協議は、憲法問題も絡む天皇陛下の「生前退位」をめぐる与野党協議が先行しているため、「改正が必要な条文などの詰めの協議は秋の臨時国会以降」(自民国対)と見られている。首相サイドからも「秋の臨時国会で与野党協議が進み、2018年の通常国会の早い段階で憲法改正の発議にこぎつけ、夏に改憲国民投票を実施するのがベスト」(政府筋)との声が漏れる。

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