安倍首相の狙いは「2018年夏ダブル選挙」だ 改憲実現へ「衆参3分の2」の維持を重視

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1月28日深夜、トランプ米国大統領との電話会談を終え、記者の質問に答える安倍首相(写真:共同)

ドナルド・トランプ米国大統領の「やりたい放題」の大統領令と「いいたい放題」のツイッターが世界中を振り回す中、日本では安倍晋三首相による政局運営が安泰となっている。"1強"政権への遠慮からかメディアの厳しい批判も少なく、野党・民進党の迫力不足に加え、首相が年明け解散を見送ったことで政局に緊迫感がなくなっているからだ。

しかし、「常在戦場」が政界の掟。首相がいつ伝家の宝刀を抜くかが、政局の焦点であることに変わりはない。年明けには有力メディアがそろって「解散は今秋以降」と報道したが、永田町では「首相は年内解散を見送り、来年初夏か晩秋の衆院選を考えているのでは」(自民幹部)との見方が広がる。

昨年末には臨戦態勢に入ったが・・・

2016年を振り返ると、永田町では年明けから年末まで解散風が吹き続けた。前半は異例の通常国会1月4日召集が「7・10衆参同日選」断行への布石と受けとられ、衆院議員は会期末の6月1日まで選挙準備と事前運動に明け暮れた。首相が単独の参院選を選択し、参院選の自民圧勝でいったん解散風は止んだ。

だが、9月に入って、年末の日ロ首脳会談の日程が決まると、今度は「日ロ解散説」が急浮上。二階俊博幹事長が「選挙に備えない議員は論外だ」などと解散風をあおる中、2017年1月10日通常国会召集による冒頭解散、2月5日投開票という年明け解散の具体的日程まで取りざたされる状況となった。ただ、12月に入りプーチン・ロシア大統領の"強面外交"によって、国民が期待した「北方領土返還」の実現が困難視される状況になると一気に解散ムードはしぼみ、多くの衆院議員は12月下旬には臨戦態勢を解いて一斉に海外旅行などに出かけた。

消費税の10%への引き上げ先送りを理由とした解散による前回衆院選は2014年12月。すでに任期4年の折り返し点を過ぎているだけに、各党幹部も「これからはいつ解散があってもおかしくない」と口をそろえるが、年明け以降の永田町は「全くの無風状態」(自民長老)で現職衆院議員の緊張感も乏しい。

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