2800万を数日でゼロにしかけた株投資の罠 慢心、油断、没頭が5つのリスクを招いた

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震災前485円だったJトラストも80円安の405円で売り気配に。私はストップ安まで行っていなかった不動産株(グローバル住販など)を売却し、Jトラスト株を8000株、「現引き」しました。現引きとは、信用取引の決済方法の1つで、買い付け代金の相当額を証券会社に渡して融資を返済し、担保となっている買い付け株券を引き取る方法です。

この時点では、Jトラスト自体の業績が悪くなったわけではないから2~3日で戻るとまだ楽観的に考えていました。しかし、震災直前の下げで2200万円まで落ちていた私の資産額は、たった1日で1300万円を切っていました。

さらに判断ミスが続く

ここでも判断ミスをしていました。Jトラスト株が3月14日に、1回寄って(売買が成立して)いることです。結果論とはいえ、株価はいくらでもいいから最優先で売るという成り行きの売り注文を入れておけば、Jトラストを損切りすることができました。

翌3月15日のJトラスト株は、一度も寄る(売買が成立する)ことなくストップ安比例配分で325円まで下がりました。結果、私の資産は600万円まで減りました。そして、手元には現物分信用分合わせて5万8000株ものJトラスト株が残っていました。資産は600万円しかないのに、1900万円分の株を持っているような状態でした。

そして、私はその翌日にも「追証」を入れなければならなくなることが確定しました。私がマイナス分を払えなくなると証券会社が立て替えなければならなくなる可能性があるので、もっとおカネを証券会社に入れろということです。私にはそんな財源などどこにもありませんでした。生活費から補塡など妻が許すはずもありませんし、仮にできたとしても1日の値下がり分の対応すらできない状況でした。

ここにきて、流石に私も焦りました。翌日もストップ安になった場合、資産がさらに減り、120万円くらいになる計算でした。少しでも下がれば追証が発生し、もし寄らなければさらに次の日には破産確定です。

当時、妻は実親の病気の面倒を見るため実家に帰っていたため、幸い妻に知られることはありませんでしたが、私は夜会社から帰って、どうしようか悩みました。とりあえず、心配で自分の父親に電話しました。父親も株式経験は豊富で、知人の借金を返済するためにかなりハイリスクな投資をしてきたことがあり、百戦錬磨の父親にアドバイスを求めたのです。

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