2800万を数日でゼロにしかけた株投資の罠 慢心、油断、没頭が5つのリスクを招いた

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4.全体市況の無視

後からチャートを見てわかったのですが、この頃の全体市況は今に比べて株価は安いものの、短期的には過熱感が出ており、いつ調整が来てもおかしくない状況でした。そして、株価が高値圏であると認識しているのであれば、ある程度株を売って現金を持っておくべきです。私はその基本を忘れ、信用二階建てというハイリスクな状態を維持しました。投資初心者のうちは、おカネのある分全部何かの株を買いたくなるものですが、今は全体市況が過熱しているなと思っているのであれば、調整に備えてある程度現金を持っておいたほうが安心なのです。

買いすぎも厳禁

5.出来高に対して株式の買いすぎ

『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』(日本実業出版社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

普段の1日の売買株数が20万株の銘柄を5万8000株も買うのは買いすぎです。一度に売ろうとすると値崩れを起こします。時間をかければ売れないわけでもないのですが、リスク分散して1銘柄当たりの投資金額を減らすべきです。

これだけ初歩的なミスを連発すれば、東日本大震災がなくても大損していたでしょう。結果、Jトラストのポジションの大半を底値で損切りする羽目になりました。そして、辛うじて破産は免れたものの、資産の大半を失いました。

今となっては、いい経験と振り返ることができますが、このようなミスは、投資経験の長い方でも経験している人が少なくない事例。慢心、油断しすぎたり、周囲が見えないほど没頭しすぎたりすると冷静な判断ができず、思わぬトラブルにはまるのは、何事も同じです。
 

堀 哲也 日本株式専門投資家

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ほり てつや / Tetsuya Hori

日本株式専門投資家。7年間で60万円の資産を3億円に増大。1971年生まれ。名古屋大学理学部数学科卒。岐阜県在住。著書に『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』(日本実業出版社)がある。

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