「新タブレット」は迷走ベネッセを救えるのか 実質無償で進研ゼミの専用タブレットを投入

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1月から導入が始まった専用タブレット「チャレンジパッド2」(記者撮影)

通信教育大手ベネッセコーポレーションの主力教材である「進研ゼミ」。今年1月、小学6年生(新中学1年生)を対象とした「中学準備講座」で、新しい専用タブレット「チャレンジパッド2」の導入を始めた。4月からは中学1・2年の講座にも広げる。

ベネッセは近年、進研ゼミのデジタル化を進めてきた。受講生は従来の紙の教材(オリジナル)か、デジタル教材+紙の教材(ハイブリッド)か、を選ぶことができる。中学講座でハイブリッドを選んだ場合、これまでデジタル教材にはiPadを利用することになっていたが、今年からは専用タブレットを使うコースが主流になる。

2014年6月、親会社のベネッセホールディングスはアップル日本法人や日本マクドナルドで社長を務めた原田泳幸氏を社長に招聘。教材のデジタル化を進めたが、2014年7月、ベネッセコーポレーションで大規模な個人情報漏洩事件が発覚し、会員数が急激に減少した。

戦略商品「チャレンジパッド2」

昨年10月からベネッセHDの社長に就任したのは、米投資ファンド・カーライルの日本代表として著名な安達保氏。今回の新型タブレットは安達氏の手腕を測る最初の機会となる(撮影:梅谷秀司)

原田氏は業績を立て直せないまま2016年6月に退任、後を継いだ福原賢一氏も約3カ月で退き、同年10月からはベネッセの社外取締役をのべ11年間務め、米投資ファンド・カーライルの日本代表を長く務めた安達保氏がトップに就任し、建て直しを進めている最中だ。

安達社長はこの新タブレットを使った講座について、昨年11月に東洋経済のインタビューで「デフレからなかなか抜け出せない状況の中で、通信教育の値ごろ感を十分意識した価格設定にしている。今後の戦略の目玉だ」と語っていた。

わざわざ専用タブレットを導入したのは、子どもがiPadで教材以外のアプリやサイトを使ってしまい、勉強がおろそかになると保護者から不安の声があがっていたからだ。

さらに、料金体系にも課題があった。中学1・2年生の場合、自宅にiPad端末がない場合は月額5875円(4月から12カ月分一括払いの場合)の講座料金に加え、月額2480円の端末リース代を支払ってレンタルする必要があった。

そのため保護者からは「タブレットの購入、レンタルまで含めると価格が高い」という意見も上がっていた。そのため、昨年はiPadを使うハイブリッドの選択率は全体でわずか8%にとどまっていた。

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