どん底のベネッセ、新社長には何を託すのか 3カ月で福原社長が退任、後任はファンド出身
ベネッセホールディングスの社長が再び交代する。会社側は9月9日、大手投資ファンド、カーライル日本法人の会長として著名な安達保氏が同社の社長に就任すると発表した。
今年5月11日に“プロ経営者”の前社長・原田泳幸氏が退任。株主総会後の6月25日から社長を引き継いだ福原賢一氏も、10月1日をもって副会長になる。同日から社外取締役の安達氏が新たに社長に就任する。
漏洩事件後、経営は迷走
ベネッセHDの業績は不振が続いている。2014年7月に発覚した個人情報の漏洩事件の影響で、2014年度は107億円、2015年度は82億円と2期連続という巨額の最終大赤字に転落した。
2014年4月に就任した原田氏は「けじめをつけるため」、わずか3年で会社を去った。その後、今2016年度も4~6月期(第1四半期)として初の営業赤字に陥るなど、低迷が続いている。
今回の交代人事について、福原社長は「もともと3か月あまりで退任する意図があったわけではない」としたうえで、「(原田氏の)急な退任後、社内の動揺を抑えるための体制の変更だった。この下半期から来年が(復活に向けた)正念場。一刻も早く、経営体制を強化する必要があると判断した」と理由を語る。
後任の社長となる安達氏は、1953年生まれ。東京大学工学部を卒業後、米マサチューセッツ工科大学でMBA(経営学修士)を取得し、1977年に三菱商事に入社した。1988年にはマッキンゼー日本法人に加わり、製造業やハイテク企業の製品市場戦略の策定などを担当している。
その後、日本リースオート(現GEキャピタル)社長を経て、2003年に米国の大手ファンドの日本法人である、カーライル・ジャパンの代表に就任した。
カーライルのような投資ファンドはバイアウト、プライベートエクイティファンドと呼ばれる。いわゆる「ハゲダカファンド」とは違い、経営陣や株主の同意の下、企業を買収。さまざまな改革を経て、企業価値が上がったところで売却したり、上場させるという手法をとる。
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