「新タブレット」は迷走ベネッセを救えるのか 実質無償で進研ゼミの専用タブレットを投入

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そこで今回、導入したのが中学生向けの専用端末「チャレンジパッド2」だ。「進研ゼミ」のコンテンツのみにつながるようになっており、外部サイトの閲覧やアプリのダウンロードが制限されている。1レッスンの時間は15分ほど。使いすぎ防止を防ぐため、利用時間の経過がわかるようになっている。

デジタルでは基礎の定着を、紙では表現力の充実を図る(記者撮影)

懸案の価格は中学1・2年生の場合、月額5600円(4月から12カ月分一括払いの場合)に引き下げた。ハイブリッドの講座を6カ月以上続けた場合は端末代が実質無料になる。

子どものモチベーションを維持できるか

ハイブリッドの特徴は、まさにその名の通り、デジタル教材と紙の教材を組み合わせているところにある。受講生はまず、タブレットを使って短い講義動画を見る。「デジタル世代には文章を読むのが苦手な子どももいる。先生のキャラクターが重要な部分を音声で解説するので、理解が進みやすい」(中学生商品開発部・中1講座リーダーの山根伊都子氏)。

ただ、動画は受け身の学習になりやすいため、自分で問題を解きながら進めることを基本としている。

講義を見た後は、基本的な練習問題を解いて理解できているかを確認。さらに少し難易度を上げた「挑戦」問題も用意されている。タブレットはただ正解を選択するだけでなく、簡単なメモを取れるようになっており、計算式などを書くことができる。一人ひとりの理解度に合わせて適切なコンテンツに誘導されるようになっているのも、デジタルならではの機能だ。

迷走の続くベネッセ、果たしてデジタル化戦略はどうなるのか(撮影:尾形文繁)

デジタル教材が動画や基本問題を中心に構成されているのに対し、紙の教材は記述力や表現力が問われる応用問題が中心だ。

数学の問題では途中の計算式を書き、国語や英語の問題では記述問題に取り組むことができる。

現在、高校入試は依然としてペーパーテストが多いため、紙の教材を使っての勉強も重要になる。中学生事業本部・中学生商品部の清水里子部長は「デジタルと紙を組み合わせた教材が、一番効果を出せる」と話す。

子どもにとって通信教育の一番のハードルは、教材をこなせずに溜めてしまうことだ。「進研ゼミ」はこれまで、担任の赤ペンコーチの個別指導、当日21時までに質問を送ると翌日17時までに専門スタッフから回答が来る「教科質問ひろば」、勉強方法や進路について先輩に相談できる「先輩直伝ひろば」などのコンテンツを充実させており、新タブレットの導入で利便性は増している。

こうした工夫で、子どものモチベーションを維持することができるかどうか。新タブレットの成否がデジタル化戦略のカギを握る。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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