「日本型教育」は世界で類を見ないほど平等だ

ドイツでは小学4年生の段階で将来を決める

ドイツでは偏差値という考えはないが、学校の種類である程度「レベル分け」される仕組みになっている。この学校選びは重要で、どの学校を卒業したかで、その後の人生が大きく変わる。大学へ進学したいのなら、基本的にギムナジウムの卒業試験であるアビトゥアに合格する必要がある。職業教育も、どの学校の卒業資格があるかでスタートラインが変わってくる。3つの学校間の編入は可能だが、簡単にはいかないのが現実だ。

この「3分岐型教育」の問題は、「進路を決める年齢が早すぎる」という点だ。子どもたちは4年生の時点で、基幹、実科、ギムナジウムのどの学校に進むかを決めなくてはならない。「酷だ」という批判が根強く、4年生からの2年間をオリエンテーション期間とし、6年生になって最終進路を決めさせる、という制度を採っているところもある。それでも、早い段階でふるい分けが行われるのは事実だ。

私が小学4年生のときを思い出すと、アニメ「ワンピース」と、遊戯王カードにハマっていた時期だ。そんなときに「進路」といわれても、ピンとこなかっただろう。そうなると、結局は、親と教師が子どものレールを敷くことになる。日本の中学校受験でも同じことだが、早い段階での進路選択は、周りの大人の意思によるところが大きい。

親の学歴が子どもにも大きく影響

では、親は子どもにどのような進路を望み、教師は何を基に生徒の進路を決めるのか。子どもの成績はもちろんだが、親の学歴も進路選択の大きな要素となる。その傾向は、2014年の政府の統計にも顕著に表れている。基幹学校に通う生徒の親の学歴を見てみると、43.8%が同じように基幹学校を卒業しているのに対し、ギムナジウム出身は14.5%しかいない。それに比べ、ギムナジウムの生徒の親は、基幹学校出身が7.2%で、ギムナジウム出身が62.5%となっている。日本でも「高卒の親を持つ子は高卒、大卒の親を持つ子は大卒になりやすい」などと言われることがあるが、ドイツでは、親の学歴が子どもの学歴に影響を及ぼしていることが明白だ。

また、親の国籍も、子どもの進路と無関係とはいえない。連邦統計局によると、2014/15年の冬学期の統計では、基幹学校の生徒の30.6%の親がドイツ以外の国籍を持っているが、実科学校では21.1%、ギムナジウムになると16.2%まで下がる。理由としては、ドイツ語が母国語ではない家庭で育った子どもが授業についていけないこと、移民や難民2世として経済的な自立を求められる可能性が高いこと、などが挙げられるだろう。ドイツではこのように、進路に「外的要因」が影響しやすく、さらに厄介なことに、その進路は容易には変えられないのだ。

これほど明確な教育格差があるにもかかわらず、なぜドイツはこのような3分岐型教育を続けるのか。簡単に言えば、合理的だからだろう。もともとドイツは「職人の国」と呼ばれていた。特定の分野に特化した人材を育てることに力を入れており、職人(マイスター)たちは尊敬の的だった。勉強ができる一部のエリート以外は、早くから職業教育を受け、現場で思う存分腕を磨いていた。職人とエリートはそれぞれの領分があり、すみ分けられていたのだ。

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