レクサス、新型「IS」に乗ってみた ハンドルを握って感じた、高級HVの真髄

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IS開発担当の小林直樹・製品企画主査

小林 「お感じになられたのは、中間加速での挙動ですね。新型ISの300hはアクセルを踏んでから、実際にパワーが生じるまでにタイムラグのあるエンジンを、応答が速いモーターが少しずつアシストしていて、滑らかな加速になるような設定にしています。モーターのアシストは車体の姿勢を保つ制御にも活用しています」。

記者 「減速の場合も同じなんでしょうか?」

小林 「そのとおりで、たとえば、ブレーキで車体前方が沈み込む動きにモーターで逆の力をかけるので、姿勢変化が少なくなります。もともとHVは重量物のバッテリーを車体の後方に設置するので、前後の重量配分が50:50という理想形になっています。さらに言えば、FSPORTは足回りの減衰力を、車速やハンドルの蛇角などに応じて可変させているうえ、ブレーキの電子制御も最適なコントロールに一役買っていると思います」。

さまざまな電子制御が随所で効果を発揮

なるほど。さまざまな電子制御が随所で効果を発揮していることが、安定した乗り味につながっているということだったのかと、合点がいった。小林氏に言わせると、最近のスポーツモデルは乗り心地と操縦性を両立できるようになっているというが、小林氏は「必要以上に電子制御で固めていません。うまく運転できたか、できなかったかがドライバーに伝わるような設計にもしています。そうしないと運転の気持ちよさが分からないし、運転がうまくなりませんから」とも話してくれた。

HVといえば、燃費の良さにばかり目がいきがち。実際、IS300hもガソリン1リットル当たり23.2キロメートルという高い燃費性能を備えており、それが人気を集めている理由には違いない。一方で、HVはエンジンを補助するモーターを、走りのさまざまな場面に活用することで、これまでにない走行性能や乗り味を得ているという側面もあるのだということを、今回の試乗で感じ取ることができた。これこそが、高級HVの真髄と言ったら大げさだろうか。

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