悪いインフレは、本当に起きないといえるのか 物価上昇率が決まるメカニズムは、まだ解明されていない

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需要が供給を上回れば価格が上昇し、下回れば価格は下落する。経済学を習ったときに最初に教えられる大原則である。需要・供給曲線を使った説明では、需要が供給を上回る需要超過の状態では価格上昇が起こり、需要が供給を下回る供給超過の状態では価格下落が起こり、結局需要と供給が一致したところで価格は安定すると教える。

 

政府・日銀による経済政策に期待されているのは、需要を増やして供給過剰の状態を脱却することによって物価を上昇させることである。需要・供給曲線では、需要曲線(DD)を右上の方にシフトさせて現在の価格で需要と供給が一致するようにすれば物価は下落しなくなる。

同じようなことは、供給曲線を動かすことでも実現できる。供給曲線(SS)が左上方向に動いても、現在と同じ価格で需要と供給が一致するようになる。

良いインフレ、悪いインフレの違いは?

財政・金融政策による景気刺激などで需要が拡大して起こる物価上昇は、ディマンド・プル型、原油価格の高騰など供給コストの上昇で起こる物価上昇は、コスト・プッシュ型インフレと呼ばれて、区別される。需要の変化と供給の変化のどちらも物価下落を止めることができるが、結果として起こる経済活動の水準が違う。需要の拡大で物価の下落を止めると取引量は拡大するが、供給の変化では前よりも減ってしまう。

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