袖にされた三井造船、一人で描く生き残り策

川重との統合は破談。造船不況を乗り切れるか。

くすぶる再編の火種

今回策定した中期3カ年経営計画の主役は、エンジニアリングやプラントといった非造船分野だ。「海洋資源開発やエネルギー分野などでは大きなチャンスがある。ここを戦略的に伸ばしていく」(田中社長)。

具体的には、50%出資する三井海洋開発が手掛ける深海油田開発向けFPSO事業(浮体式原油生産貯蔵積出設備の設計・エンジニアリング業務)、さらには本体や欧州子会社で手掛ける石油・ガス化学、発電などの陸上プラント事業の拡大を急ぐ。

一方、最大の焦点となっている造船に関しては、固定費削減や省エネ船開発の強化などあくまで一般論にとどまった。具体的な生き残り策は見えないままだ。柱の造船関連事業の抜本的な対策なしに、三井造船の将来展望は開けない。

造船業の先行きが厳しい中で、いち早く独自戦略を推し進めている国内大手もある。三菱重工業は競争の激しい一般商船から撤退し、技術参入障壁の高い大型客船や資源探査船、LNG運搬船などに経営資源を集中。戦略が功を奏し、国内電力会社による投資が相次ぐLNG運搬船の受注は今や同社の独壇場だ。

ひるがえって三井造船の造船事業を見ると、防衛省・官公庁向けを除けば、汎用商船の典型ともいえるバラ積み船(鉄鉱石や穀物の運搬船)ばかり。同社は造船バブル時に船価高騰で当時いちばん儲かったバラ積み船を最優先。その軌道修正が遅れた結果、かつて得意としたLNG運搬船は競争力が低下し、今では受注がまったく取れていない。

「(川重との)交渉が中止されたからといって、何ら当社の経営が変わるものではない。また、直ちにどこかの会社と統合することも現時点では考えていない」と田中社長は強調する。が、造船という屋台骨が揺らぐ中、IHIなど他社との再編をいずれ模索する可能性は十分ある。川重との統合破談だけで話は終わりそうにない。

(撮影:大澤 誠 =週刊東洋経済2013年7月13日号

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