レシピ動画デリッシュキッチン快進撃の理由 運用7カ月で120超の広告記事を獲得
レシピ工程は極力シンプル化して順を追えばできるものにする、ボウルの使用は2個まで、料理初心者にもわかりやすい言葉を使う(たとえば「ダマにならない」のダマとは何かを解説する)など、きめ細かいルールもある。レシピ考案には管理栄養士などのプロも加わり、動画にはナレーションを入れる。NHKの「きょうの料理」は見終えるのに25分必要だが、こちらはほとんどのレシピ動画が1分ちょっとで完結する。
広告主もファンから生まれた
これなら作れそうだとキッチンに立ち、スマホをちょっとずつ止めながら動画の言うとおりに従っていけば、誰でも失敗なく美味しくできる。その動線を意識した試みは見事にユーザーの心をつかみ、動画そのものがバイラル(拡散)するというよりも、「何気に見てたら作りたくなった」「言う通りにやったらできた! 美味しかった」という経験がバイラル(拡散)する。友だち経由で、潜在的なユーザーにも浸透していく。分散型メディアとして、ソーシャルプラットフォームの特性をうまく使い、コスト軽く、かつ人づてに「経験」が広がっていく仕組みをつくりあげている。
その人づての輪のなかにはクライアントも含まれる。「実際使ってみてよかったから」「家族がいいと言っていた」という理由で、直接広告出稿の問い合わせが来るという。「社内の営業担当者はごくわずか。多くの広告主からのお問い合わせをたくさんいただいている状態で、こちらからの営業はほとんどしていない」と吉田氏は言う。
ブランデッドコンテンツの広告主のひとりであるマルコメ マーケティング本部 広報部PR課 尾田春菜氏は、同メディアを通した施策について、「デジタルマーケティングという概念だけでは捉えていない」という。「いかにお客様と継続的で深い関係を築いていけるかという視点で何かできないかと探していたら、デリッシュキッチンがそのひとつだった」。実際にユーザーのコメントからは、認知につながっていると実感できるものが多く読み取れるという。