100年人生に「定職・持ち家・引退」は不要だ! 「既成概念をぶっ壊す!?」緊急討論会

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尾原 和啓(おばら かずひろ)/
シンクル事業長・執筆・IT批評家・Professional Connector。経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー。京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を歴任。現在13職目 、バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Man Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。シンクルはApple 2016年ベストアプリ10選に。著書に『ザ・プラットフォーム』(NHK出版新書)がある

:これからのイノベーションで、人生のコストは劇的に下がります。現在、最も大きなコストは住宅でしょう。20世紀の価値観でいうと、ラグジュアリーというのは、大きな家で、庭やホームシアターがあることでした。ところが、「ライフ・シフト」が起こると、世界中を回っていろいろな人に会い、さまざまなものを見るほうがより豊かだという価値観に変わってくるかもしれない。無形資産の価値が上がり、ラグジュアリーなものの概念が変わります。住宅ローンに縛られる働き方ではなく、ギグ・エコノミーやシェアリング・エコノミーを取り入れながら、無形資産の形成に時間とエネルギーを費やすようになるでしょう。

杉本:ギグ・エコノミーを巡っては、自由な働き方なのか労働者の搾取なのかという議論が欧米で起こっています。

尾原:ギグ・エコノミーは搾取されているか、という話は、社会保障制度や保険制度が追いつかなかった2~3年間のことですよね。たとえば、ウーバー・タクシーは既存の自動車保険の対象外だから、事故を起こすと運転手に責任が問われていましたが、ベンチャー企業はそこにチャンスを見つけて、すでにウーバー用の保険を作っている。

先日、アメリカでウーバー・ブラック(スーパーカーなど高級車のウーバー)に乗っている移民の運転手に話を聞いたら、面白いことがわかりました。ウーバー・エコノミー(一般的な車種のウーバー)を4年間コツコツとやってきたら、実績を認められて車のローンが組めるようになって、いい車を買ってウーバー・ブラックになれた。その結果、年収が1.5倍になったそうです。つまり、ギグ・エコノミーもコツコツやれば日の目を見られる時代になってきたということです。過渡期は、むしろベンチャーにはチャンスになっていると、僕は楽観的に見ています。

宮澤:話は飛びますが、ブレーキを急に踏み込む人は事故率が高いらしいですよ。そこでブレーキとアクセルの踏み方をデータ分析して、保険金額を決めている会社がアメリカにある。データ化されると、性格の粗い人は高コストな時代になります。無形資産もたまらないし、AIにも嫌われてしまう。ですから、100年生きる時代は、いかに穏やかに生きていくかが重要かなと(笑)。

「経験」とは、捨てることに躊躇がなくなること

杉本:年齢とクリエーティビティやパラレルな生き方に、関係はありますか。やはり若いときに始めたほうがいいのでしょうか。

宮澤:年齢に関係なく、圧倒的に柔軟性だと思います。指数関数的に毎日常識が変わっていくことに対して、オープンでいられるかどうかが重要だと思います。ただし、幼少期の環境などは、やはり影響するのではないでしょうか。僕の家族は音楽家で、親父には定年がありませんでした。むしろ、音楽は年齢を増すごとに深みが増していくので、引退という3ステージの考え方はもともとありませんでしたね。

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