世界史から見た、おんな城主・井伊直虎の真実 同時期に世界でも女性君主が多かった理由

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直虎の時代には「おんな城主」はたくさんいた?(写真:PJ / PIXTA)
大河ドラマ『おんな城主 直虎』(柴咲コウ主演)がいよいよ始まる。昨年の「真田丸」に続き、戦国時代が舞台であるが、「直虎」という男性名がついた「おんな城主」という設定に、違和感を感じた方も多いだろう。直虎の知名度は低いが、乱世の時代にあえて男の名に変え、家督を継ぎ、井伊家存続と発展の礎を築いた女性として知られる。
戦国時代には女性が城主になったケースがほかにも見られる。また、日本だけでなく同時期の世界を見ると、女性が君主になった事例が目立つ。これは偶然のことなのだろうか?
日本史・世界史は同時代を並行して歩んでいるという視点で「同時代感覚」をつかむ通史『一気に同時読み!世界史までわかる日本史』を執筆した作家・島崎晋氏に、直虎と同時期に、世界でも女性の君主がいた事実を語っていただいた。

「直虎」という名の戦国おんな城主

2017年のNHK大河ドラマは、タイトルを『おんな城主 直虎』という。主人公は遠江国の土豪・井伊家の血を引く女性である。

なぜ女性が直虎という男性のような名を用い、城主を務めることになったのか。そこには当時の井伊家と駿河国の大大名・今川義元が関係していた。

直虎の曾祖父直平には三男一女がおり、家督は直平から嫡男の直盛へと受け継がれていたが、彼には女性である直虎しか子がいなかったことから、叔父である直満の一人息子・亀之丞(直親)と直虎を縁組させ、将来二人のあいだにできるだろう男子に跡を継がせることが決せられた。

ところが、井伊家が臣従する今川義元の猜疑心の強さが、井伊家をお家断絶の危機に追いやった。謀反を疑われた直満は殺され、まだ九歳の少年にすぎなかった亀之丞は信濃国に逃れたのち、それきり音信が途絶え、生死さえも確認できない状態が続いた。

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