人口7割が「定職ナシ」でも不幸とは限らない 一方、「勤勉に働く日本人」は幸福なのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――その時々の局面において自在に職を変えていく彼らにとって、人生設計のようなものはあるのでしょうか。

みんな、おカネ持ちになりたいとは思っていると思います。ただ、どのようなビジョンをもっているかというと、多くの人は明確なものをもっているわけではないんです。

そのときそのときで新しいアイデアは沢山持っているのですが、それが20年、30年先までを見据えたものではない。

――やはり、行き当たりばったりの……。

でも、それがときに成功してしまうのが、面白いところなんです。

「ajides」って何?! 中国模造品市場が商売を支える

――こうした零細商人たちが扱う商品は、主にどこから仕入れられているのでしょうか。

ブランドのコピー商品を含めた、安価な中国製商品の流通が彼らの商売を支えています。

コピー商品といっても、ブランド品を巧妙にまねたものだけではなく、もはやギャグのような商品もあります。たとえば、「ajides(アジです)」と書いてある帽子が売っていて、魚のアジのロゴがついているんですけれども、これが「adidas(アディダス)」のコピー商品なのかどうかはもはや疑問です。

現在筆者は香港に滞在し、そこで活躍するタンザニア商人を研究している(撮影:小川さやか氏)

こうした商品を購入するほうも、100%本物ではないと思って買っているし、コピー商品がいいと思っているわけではない。

彼らは本物を買うことができないんです。そこで中国のオリジナルブランド商品などもあるなかで、知っているブランドに似ている模造品をなんとなく買ってしまうということ。

特に、彼らの交友関係で非常に重要なツールであるスマートフォンが欲しいとき、サムスンの本物のスマホが買えないからといって、買うのをやめたら、彼らが日常生活でも、商売の道具としても何より重要視しているスマホを通じた交友関係を失うことになって、危機に陥ってしまう。だから、模造品を買うしかないんです。タンザニア政府は、コピー商品の流通を規制しようとしていますが、こうした理由もあって反発は大きいようです。

――模造品を売り買いすることへの罪悪感もあまりない?

知的財産権を侵犯している、といった発想は少なくともないでしょうね(笑)。粗悪品を扱うことへの反発はあっても。

次ページ「日本人は不思議なくらい不幸せそう」
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事