「柿の種」までも!グルテンフリーが熱いワケ 日本の大手食品メーカーが見出した勝機

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欧米でのブームを追い風に、日本でもグルテンフリーへの関心が高まりつつある。レシピ投稿サイト「クックパッド」でグルテンフリーを検索すると、1400を超えるレシピがずらりと並ぶ。

神奈川県の「新横浜ラーメン博物館」では、6月から2つの店舗でグルテンフリーのラーメンを発売している。麺には米粉や春雨を用い、通常の小麦麺とは別の鍋でゆでる。きっかけは訪日外国人観光客からの要望だったが、日本人客からも「小麦アレルギーの子供が喜んで食べていた」などの声があがっているという。

ビールにもグルテンフリー

「麦のジュース」と呼ばれるビールにも、グルテンフリー製品が登場した。友和貿易(東京・渋谷区)は8月から、グルテンフリーの米国製クラフトビール「Omission」(オミッション)の輸入販売を開始。原材料に麦芽を使用しているが、製造過程で酵母を加えることでグルテンを分解しているという。

港区・西麻布の割烹「伊勢すえよし」では、グルテンフリーの懐石コースを4月から提供している。完全予約制で、事前に要望があれば小麦由来の原料を含まないしょうゆやポン酢を調味料に用いる。店主の田中佑樹氏によると、「グルテンフリーの小麦粉を使ったてんぷらを用意することもできる」という。

ベンチャー企業も動き出している。過熱水蒸気を用いた調理器を展開するコスモバイタル(東京・港区)は12月、グルテンフリーに加え、乳化剤や油脂などの添加物を一切使わないパンの発酵・焼成器を発表した。

コスモバイタルが開発した焼成器で焼いたグルテンフリーパン(記者撮影)

同社の調理器は過熱水蒸気によって高温・無酸素の状態を作り出し、食品の酸化を防ぎながら短時間で調理できる。この調理器で加工した米粉を使用することで、グルテン・添加物フリーを実現した。来年4月以降、機器の販売・レンタルを開始する予定。食品工場の既存機器を入れ替えるだけで、製造工程を変えずに導入できるメリットもある。

「これまでグルテンフリー食品とはいっても、おいしくなかったり、無理に別の添加物を加えたり、本末転倒のところがあった。当社の加熱器は無酸素状態で調理するため、素材そのもののうま味を引き出せる。無添加とおいしさは両立できる」(コスモバイタルの加納勉社長)

広がりを見せるグルテンフリー。ただ、必ずしも医学的根拠が明確というわけではない。信州大学医学部血液内科の中澤英之氏は「グルテンフリーには国際基準がなく、定義もあいまいだ」と釘を刺す。グルテンフリーはダイエットや健康維持につながるともいわれるが、中澤氏はその効果について「個人差が大きいだろう」という。

グルテンフリー食品が根付くには、メーカーの地に足のついた取り組みが求められる。消費者もできるだけ正確な知識を身につけるべきだろう。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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