会食で自分の上司を「放置」してはいけない

上司は会話に入れず不安を募らせているかも

そうして、あらかじめ相手の細かい情報を伝えないまま、会が始まったとしましょう。食事中、部下が取引先のメンバーと和気あいあいと盛り上がる中、上司は1人だけ話題に入っていけません。話したくても、下手に口をはさめば相手の状況を把握していないのが露呈してしまうかもしれず、それは避けたいと思うでしょう。

さらに、たとえ上司が取引先の情報を把握していたとしても、部下があまりにも取引先と気心が通じていて、自分にはわからない話で盛り上がっていると、上司は会話に入れなくなります。結果、上司は黙って黙々とお酒を飲み続けるしかありません。

上司が悶々としているさなか、部下の注意は自分の上司ではなく、相手やその上司に向きがちです。積極的に話を振ってみたり、お酒のグラスが空きそうか、目を配ったりと、それだけで精いっぱいです。

そんな状況下であまり話さない上司の様子を見て「ちっともみんなの話に入ってこない、まったくノリが悪いな。自分ばかりが先方に気を遣っていてバカみたいだ」とすら考えるかもしれません。

しかし、そこで考えてみて欲しいのです。こういう会食は、参加しているメンバーみんなが楽しく会話をしてこそ、盛り上がるもの。ここで上司に不満を持っても、うまくいくわけがありません。

その場で上司が話に入っていけない様子だったら、話に加わりやすいように誘導していくことが大切です。もし上司が知らない話題になったら「そうそう、これはこういうことがあったんですよ」と自分から説明をする。そして、お相手の上司と自分の上司に共通の趣味や関心があった場合は、すかさず話題にあげて、お互いが話しやすい状況を作っていきましょう。

全員で話せる話題に誘導しよう

4~5名の会であれば、メンバー内で会話を分散させず、全員で話せる話題にもっていくことが鉄則です。会の仕切り役は、料理やお酒の手配だけではなく、会話を誘導することも大事な役目なのです。

私が以前、あるメディア企業から接待を受けたとき、担当者の見事な「会話の誘導ぶり」に感銘を受けたことがあります。いつもやりとりしている担当者の上司の方が、系列会社から異動して来られたので、それに際しての会食でした。

その会社の担当者たちと私たちとは、旧知の仲。その上司だけが、言わば「なじみのない」方でした。けれども、その会はそんなことを全然感じさせない、楽しい会になりました。

こう感じた理由の1つは、その上司が、私たちの会社の成り立ちや今までの取引の経緯、状況など、色々なことをすでにご存知だったからです。おそらく、事前の情報収集が完璧だったのでしょう。

加えて、食事の合間に、部下である担当者たちが、自分たちの新しい上司を何ともうまい具合に盛り上げるのです。むやみやたらと上司に気を遣うのではなく、「上司の〇〇さんは飲むのが好きだから、僕たちはいつも朝までコースで困ります~」などと、彼がどのような人物なのか、さまざまなエピソードを交えつつ、面白おかしく話してくれるのでした。

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