しかし、HR総研の新卒採用動向調査によれば、2017年卒新卒採用において女性比率が上がったようには見えない。調査では女性の採用比率について聞いているが、「意図的に女性の比率を高めた」という企業は5%にとどまっており、「意図的ではないが、結果的に女性比率が高まった」という回答を合わせても3割に満たない。
最も多いのは「ほぼ変わらない」が65%で、「女性比率が下がった」という回答も8%あった。意図的に比率を高めるべきだったという意見もあるが、その意味は「2017年卒でできなかった」という趣旨の反省だ。
14%の企業が女性採用ゼロ!
・女性活躍法を踏まえ、女性に対するアプローチの仕方、対象校の選定、女性社員の活用を、もっと検討し実施すべきであった(従業員規模301~1000人、情報・通信)
さらには女子学生が集まりすぎて男子学生が少なく、男性比率を高める施策が必要だったという反省すらある。
・女性の比率が説明会から非常に高かったので、広報や説明会で集める際に男性の比率を高める施策をすればよかった(従業員規模300人以下、メーカー)
男女の採用が平等に行われるなら、内定数は学生数の男女比に近い数字になるはずだ。そこで文部科学省の「学校基本調査」で確認すると、1990年の頃の女子学生比率は3割程度だが、年々上昇し、2016年は4割を超えた段階である。
実際のデータで「内定者に占める女性の割合(全体)」を確認してみよう。「0%」とは、「女性の内定者はいない」という意味で、14%の企業が女性を採用していない。「10%未満」や「10~20%」も「ほぼいない」と解釈できる。そして女子学生の内定比率が「50%未満」の企業が7割を占めている。政府は女性活躍社会を目指しているが、新卒採用を見ると理想の社会への道は遠そうだ。
この結果はアンケート回答企業を単純集計したものだが、女性採用は業種と規模によって大きなばらつきがある。傾向として規模が小さいほど、女性内定が少ない。
業種では、非メーカーでは女性採用が多いが、メーカーで女性採用は少ない。専門性を問わない非メーカーでは、女性比率が「50%以上」の企業が約4割ある。内定者の「50~70%」が女性という企業が32%で、「70%以上」も9%ある。
一方、メーカーでは女性が少なく、約9割の企業が女性比率50%未満だ。メーカーが最も採用したいのは理工系の学生だが、もともと女子学生が少ない。特に機電系学科では希少なので、必然的に女性採用が少なくなっている。
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