ところが従業員「301~1000人」や「300人以下」の規模の企業になると充足率は急に下がる。「301~1000人」の企業の9%が充足率「20~50%未満」。さらに「300人以下」の企業の13%が充足率「20%未満」と深刻な状況となっている。
もちろん、従業員数が「301~1000人」でも、「300人以下」でも、8割前後の企業が充足率80%以上を確保している。しかし、ほとんど採用できなかった中堅・中小企業もある程度あることは、事実だろう。そうした企業が採用活動を終了した理由は「これまで採れなかったし、これから採れる見込みもない」から。次のような証言がある。
・大手に人が流れてしまい、中小はきつかった。残っていた人材もわれわれが求める人材ではなかったので、採用しないことにし、2017年度は終了した(従業員規模300人以下、情報・通信)
300人超の企業に女性活躍の開示義務
今年の経団連の指針は、選考開始を6月1日以降と定めているが、さすがにそれより前の5月以前に新卒採用活動を終了した企業は、ほとんど見られなかった。活動を終了させた時期を見ると、6月から急増して10月までに終了した企業がほとんどで、この5カ月間が選考のピークだったことになる。
ただ企業規模によって活動パターンがかなり違う。「1001人以上」や「301~1000人」の企業規模では、終了のピークが7~9月で、10月はかなり低い数字になっている。一方、「301~1000人」は「1001人以上」より、ピークが少し後ろにずれていた。理由は次のように大手との競合を避けたことが挙げられる。
・2016年採用で大変苦しんだので、2017年では最終面接を、大手企業が一息つく6月末にしました。結果的には、弊社を第一に考えてくれた学生が大半でしたので、内定辞退は0でした。現在のところは反省点なしです(従業員規模301~1000人、メーカー)
さらに「300人以下」となると、夏場は低調で、10月がピーク。大手や中堅と違う時期を選んでいたようだ。
売り手市場で学生の就職率が高まる中、実は改善していない項目がある。それは女性の採用だ。安倍晋三政権は「すべての女性が輝く社会づくり」を推進しており、2020年までに女性管理職30%という高いハードルを掲げている。2016年4月には女性活躍推進法が施行され、301人以上の企業に自社の女性活躍状況の把握・課題分析、行動計画の策定・届出、情報公表などを行うことが義務づけられた。女性活躍状況の把握には「採用者に占める女性比率」という項目がある。
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