京都で開業ラッシュ、「高級ホテル戦争」勃発 街を挙げて「違法民泊」には徹底抗戦

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京都市は民泊について、無許可営業のうえに運営実態が不透明で周辺住民との軋轢を生み出しやすいとして、徹底的な取り締まりを実施。そのため、賃貸マンションや住宅をホテルやゲストハウスに転換する事例が急増している。

現在市が活用法を検討する立誠小学校跡地。ホテルになるとうわさされる(記者撮影)

京都市内で不動産活用コンサルティングをしているコミュニティ・ラボの田中和彦氏も、ある不動産オーナーの依頼を受けて、マンションとして造られた物件をコンドミニアムに転用。この物件は京都市の許認可が得られ次第、ホテルとして開業する方針だ。「賃貸マンションよりも、ホテルのほうが投資利回りが高い。市内ではこうした動きが出始めている」(田中氏)。

「簡易宿所」が急増

このような簡易宿所と呼ばれる施設の営業数は06年度には200軒程度だったが、15年度に696軒まで増加。今年4~10月で1086軒に達しており、この1年でほぼ倍増する見通しだ。これに対して市は12月、周辺住民の生活環境との調和のため、迷惑行為の防止など宿泊施設に対する新たなルールを導入した。

不動産助言大手のJLLでホテル事業を統括する沢柳知彦取締役は「京都は静かな街並みがウリだったのに、観光客が増えてテーマパーク化している。期待とのギャップが広がれば、リピート客数に影響が出かねない」と指摘する。

実際、冒頭の旅行雑誌のランキングで16年に京都は6位に順位を落とした。その要因は円高に振れたことだけではないだろう。はたして熱狂はいつまで続くのか。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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