がんの人に「調子はどう」と聞いてはいけない 気にかけて発したつもりでも…

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がん患者を見舞うときは、口を慎み、相手の言葉に耳を傾けるべきだと、ゴールドバーグは言う。「黙って見守ることが最大のサポートになることは、よくある」と彼は言う。「がん患者には、誰かに静かにそこに居て、自分の言葉に耳の傾けてほしいだけのときがある。沈黙の時間は、患者が少し考えて、難しい話を始める余裕をあたえてくれる」。

やってはいけないことはたくさんある

また、話しをするときは「(患者との)会話を楽しみ、こちらの質問に答えさせるようなやり取りは控えるべきだ」と、ゴールドバーグは言う。ほかにも、やってはいけないことはたくさんある。たとえば……。

・「ついにダイエットできたじゃない」など、見た目の変化に言及する。

・同じようながんを患っている人の話をする(たとえ治療が成功した人でも)。がんは人それぞれ違う。ただし、同じようながんを持つ人と話をしたいか聞くのはよい。

・「●●●がんでなくてよかったじゃない」と言う。それは「あなたの苦しみは大したことない」と示唆することになる。たとえ良性のがんでも、なって「よかった」ことなんてありえない。

・「その気持ちよくわかるわ」と言う。わかるはずがないから。むしろ「がんの経験について話したい?」と聞いてあげよう。

・効果の証明されていない治療法や、実績が定かではない医者を話題にする。

・がんになったのは生活習慣のせいだと示唆する(たとえその可能性が高くても)。がんのリスク要因は無数にあるから、原因探しは無駄。たとえ長年の喫煙者でも、実際にがんになったのは運が悪かっただけだ。

・「元気を出さないと」と説教する。物事がうまくいかなくて落ち込んだとき、罪悪感を持たせることになる。「何があってもそばにいるから」と寄り添うこと。

・予後について聞く。患者から話題にしてきたならまだしも、そうでないなら、聞きたいという気持ちを我慢すること。

・自分の苦悩を口にして、患者に負担を与える。また、友達ががんになってどうしていいかわからないなら、正直に「なんと言っていいかわからない」と言ったほうがいい。何も言わなかったり、その人を避けたりすると、患者は見捨てられたと感じたり、あなたはなんとも思っていないと思ったりする。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service
 

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