DeNAパレットは、どの媒体も会員登録した投稿者による記事と運営側が作成した記事で構成されている。運営側が作成したオリジナル記事をフロントページでは見せつつ、投稿者の(品質は確認されていない)大量の記事でアクセス数を稼ぐスタイルで、企業からのPR記事などタイアップも進んでいる。その際に「5000万」という月間アクセスユーザー数はマネタイズの大きな武器になってきた。
今後、広告主が重視しなければならないのは5000万の中身だ。この読者は、DeNAパレットが展開する各媒体を信頼したうえで記事を読んでいるわけではない。その多くは、グーグルを"騙した"結果、集められてきた読者である。
アドネットワークからの収益により短期的な成長を演出できたとしても、このようなサイトに高額な広告料を支払ってブランドイメージを預ける企業はどれだけ現れるだろうか。一時的に出稿したとしても、いずれはリスクを避けるためパートナーを降りるだろう。
失った信用を回復するためには、抜本的な事業体制の見直しが必要になる。DeNAパレットは、メディアとしてもっとも重視しなければならない「読者の信頼」を軽視してきた。今後、読者を重視するサービスへと事業モデルを組み立て直すには、相応の投資が必要だ。その覚悟が、DeNAにあるのだろうか。
グーグルにも問題がある
もっとも、筆者がガッカリしているのはDeNAに対してだけではない。グーグルに対してもだ。ある意味、DeNAパレットのような事業モデルを生み出したのはグーグルであるからだ。
今回の問題は、世界でもっとも多く使われており、もっとも洗練されているとみられている検索エンジンでさえ、簡単に騙されて誤った情報を上位に集中させることが可能であることを示している。しかも、人の生死や健康に関わる情報でさえも、である。
検索エンジンは、インターネットに点在する大量の情報への動線であり、道しるべである。だからこそ、グーグルはズルをする情報発信者を除外する措置を常に行ってきた。その手法は、”グーグル八分”と呼ばれる「無実なのに検索対象から外され、復帰の手立てがない」状況を生み出し、時に小さくも新しい事業の芽を摘んでしまうこともあった。
ところが、その一方で検索エンジンを騙すノウハウを持ち、短期間に大量のコンテンツを投入する事業者が出現すれば、あっという間に情報閲覧順位が操作されてしまうことも証明された。生死や健康にかかわる問題への情報操作にさえ、グーグルが無力な存在であることが明らかになった事件とも言える。
今回の問題でグーグルが目を覚まし、悪質な情報発信サイトに対して現実的な対策を打つこと、そしてルール作りへとつなげていくことを望みたいものだ。
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