確率で考える「がん保険」への正しい入り方 「がん保険を利用する価値」とは何か

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それから、代理店手数料など「契約に要するコスト」がわかることが大事だと思います。たとえば、保険会社で保険料の設定などに関与している複数の保険数理人によると、主に入院に備える「医療保険」の保険料には、保険会社の運営費に回る部分が30%ほど含まれているそうです。

私は、この情報から「医療保険専用ATM機に1万円入金すると、手数料が3000円引かれるようなもの」と考え、医療保険には加入しないことにしています。

手数料等、費消されるおカネが多いと質は下がる

がん保険に限らず、すべての保険で同じようなことがわかるほうがいいはずです。金融商品は「おカネでおカネを用意する」仕組み上、手数料等に費消されるおカネが多いほど、商品の品質は下がると考えられます。商品の利用価値を判断する際、極めて重要な情報でしょう。

もし「相対的に高い手数料が発生するものの、営業担当者や代理店によるコンサルティングに大きな価値がある」などと異論がある会社は、保険料に含まれる「コンサルティング料」を明らかにしたらいいはずです。シティホテルのティールームのレシートに、コーヒー代とは別に「サービス料」が明記されているようなものではないでしょうか。

ちなみに、ある保険計理人の助言を得て、保障内容がシンプルながん保険で、保険料に含まれる保険会社の運営費部分を計算したところ、「1万円を入金すると3~5000円くらいの手数料が引かれるATM機」というイメージでした。

複数の特約が付加されたがん保険では、こうした試算が不可能なため、さらに多額の手数料等が含まれているかもしれません。

私は10数年間の営業マン時代に、若くしてがんで亡くなられたお客様とのお付き合いも経験しました。著書の原稿を書くため、闘病中の方々とお会いしたこともあります。当事者はもちろん関係者が苦労なさっている話などに触れる機会も一般の方より多いだろうと思います。

しかし、感情が揺さぶられる体験談などから離れて、がん保険の保険料の内訳を推計してみると、単に「大胆な課金システム」に見えてきます。もう少しマシなものに出来ないのだろうか、と思うのです。商品やサービスを向上させるのは消費者です。がん保険が役に立つ確率や契約に要するコストを厳しく問う人が増えることを望みます。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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