そこで、たとえば(仮の数字ですが)60歳までの加入者の10人に1人が給付を受けていて、給付総額は150万円程度であることが一般的だ、といった事実がわかると、がん保険の「利用価値」について考えやすくなると思うのです。
ところが、実態は不明です。各保険会社のディスクロージャー誌を見てもわかりません。そもそも「医療保険」や「がん保険」といった商品別の給付実績が掲載されていないからです。
もちろん、実績を載せても誤解されるばかりだという見方もできるかもしれません。たとえば、発売後の経過年数が短い特約などの給付は、加入時にお客様の健康状態を確認する効果が持続していて、給付率が低くなっていると思われます。
また、加入者ががんにかかる確率は年々高くなるので、仮に単年度の数字で「診断給付金が契約件数10件あたり1件支払われている」といったことがわかっても、一人ひとりの加入者ががん保険の恩恵を受ける確率が10%だとは断じて評価できません。
共有すべき情報
こうしたことを考えると、お客様にとって親切なのは、2つの情報が開示されることだろうと思います。ひとつは「給付見込み」です。天気予報の「降水確率」のようなものがわかるといいと思うのです。
実際、保険料を設定する際には、診断給付金を支払う確率、入院給付金を支払う確率や給付日数など、すべて見込みの数字が根拠になっているはずです。
傘と違って、保険は「利用する可能性」に見当をつけることが容易ではありません。特約などが細分化された商品ではなおさらです。しかも、傘より断然高額な商品なのです。
給付金の原資は、お客様が出し合う保険料なのですから、保険会社の企業秘密にしないで、お客様と給付見込みに関する情報を共有したらいいと思います。
「がんが再発した際も役に立ちます」という情報より、「再発に対応した給付金は、がんにかかった人のX%程度に支払われる見込みです」といった情報があったほうが、助かると思うのです。
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