イオンが南青山で「冷凍」マカロンを売るワケ 高級冷凍食品専門店を中目黒、麻布にも展開

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日本の冷凍食品は、買い物や調理に時間を割きづらい共働き世帯の増加などを追い風に市場拡大が続く。日本冷凍食品協会によると、冷凍食品の国内生産金額は2009年から2014年までの5年間で6%伸び、6760億円に達している。

だが、冷凍食品はスーパーで安売りの目玉となることが多く、品質よりも価格で争われることが多い。品揃えも近年は増えつつあるものの、唐揚げやチャーハンなど、定番品が売り場の大半を占める。

どこまで店数を増やせるか

イオンサヴールの小野倫子社長は「総菜や生鮮品の需要も取り込みたい」と意気込んだ(記者撮影)

実際に、イオンも冷凍食品では148円のカルボナーラや98円のチキンライスなど、安価なプライベートブランド(PB)を中心に展開してきた。

そこでイオンが目をつけたのが、「フランスでは知らない人はいない」(長期在住経験者)というピカールのブランド力だ。イオンサヴールの小野倫子社長は「ゼロから始めるよりも、ピカールという箱を使った方が早い」と語る。

イオンは2014年11月に「多摩平の森店」など9つの総合スーパーで実験的に約50種類のピカール商品を導入。2年間の試験販売を通じ、子育て世代の女性を中心に需要があると分析し、今回の店舗展開に踏み切っている。

今後は総合スーパー内での小規模展開は品川シーサイド、東雲、東久留米の3店にとどめ、店舗としてのピカールの出店拡大を目指す。11月17日に先行オープンした、全国配送が可能なウェブ通販サイトもレシピ情報などの内容を充実させる方針だ。小野社長は「冷凍食品市場だけでなく、総菜や生鮮品の需要も取り込みたい」と意気込みを語る。

ただ、ピカール型の高品質な冷凍食品が日本で展開されるのは今回が初めてではない。埼玉地盤の食品スーパー大手ヤオコーは、5年前にピカールをモデルにした高品質な冷凍食品をプライベートブランドで投入。だが、消費者の間でなかなか定着せず、販売を取りやめた経緯がある。

はたして、フランス流の冷凍食品は日本の消費者の胃袋をつかむことができるのか。まずは青山の地で挑戦の火ぶたが切られた。

 

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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