丸井は「百貨店」?それとも「カード会社」か? 売り場作りとビジネスモデルを大改革中
――社長就任12年目にして、大幅なビジネスモデルの転換に乗り出した。
創業時から振り返ると、当社は家具や耐久消費財からファッション、ファッションから雑貨や飲食へと、時代のニーズに沿って柔軟に軸足を移してきた。大胆に革新できるDNAをもともと持っていると思う。
文字通り「苦節十年」。社長になってからの十数年間は、この革新のDNAと、「ヤングファッションと『赤いカード』(クレジットカード)」による、1980年代の成功体験とのせめぎ合いだった。
社長就任時の2005年から、大幅な金利引き下げが予定されていたカード事業と、人口減少が続く若者向けのビジネスという2つの軸で、抜本的な改革が必要だということはわかっていた。
成功体験に縛られたことも…
――従来のやり方に限界を感じたきっかけは何か。
限界をはっきり自覚したのは、2006年の「なんばマルイ」開店がきっかけだ。新店をどういう業態にするか議論になった際、私は小売りの担当をしていた先輩役員に、「これまでのマルイの集大成で行くか、それとも新しいマルイ作りにチャレンジするか」、と問いかけた。すると、彼は「集大成でやらせてくれ。新しいものはできない」と答えた。
――過去の成功体験があったからか。
1980年代の同社の成功体験を、誰よりも引きずってしまったのが当社の社員。変化に対する抵抗感が強くあった。そこで私は、(なんばマルイを従来のモデルで)挑戦してみることにした。結果を見れば、変えなくてはいけないことを自覚するかも知れない、と。
すると、想像以上に苦戦した。一般的に、新店の売り上げ目標は絶対に到達できる保守的な数字で公表する。目標の未達は、業界でもまれなことなのだが、この店舗は未達・・・ショックだった。
これまでの商売は完全に賞味期限切れ。変えなければだめだと、全員が自覚した。そこで挑戦したのは、若者にターゲットを絞らない「有楽町マルイ」だった。現在進めている、お客様と一緒の店作りを始めたのも有楽町マルイからだ。
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