「教えない」が難関大合格者を続出させる秘訣

開智学園の強さの源泉とは?

授業を減らし、自習増やして、真の学びにつなげる

それは昨年から、授業数を減らしたことだ。ほかの進学校なら、高校3年時の授業数は週40時間ほど。しかし、開智では6年生になると、25~34時間程度しか受講できない。空いた時間は、受験用の特別授業を押し込むのではなく、「自習」に充てられるのだ。

「授業でこちらから教え込んでしまうと、自ら考えることをしなくなる。『わからないならば、もう一度詰め込む』ではなく『わからないなら、どこがわからないか』を考える時間が必要なのです。それを自習時間に立ち止まって復習、予習、または友達と学び合うことで、学んだことを反芻できる」(溜校長)。

詰め込み型の授業でスポイルされていた、学習の“咀嚼”の時間を、授業を削って用意したというわけだ。もっとも、授業数減の仕組みは、教師側にとっても負担であり、変革を求められる。しかし、溜校長は「それも狙いのひとつだ」と言う。

「たとえば、英語の授業は週10時間ほどが普通だが、その10時間に甘えて、要点を絞らずダラダラと教える教師がいないわけではなかった。しかし、これを6時間に減らすとなれば、要点を絞らざるをえない。教師も自ら考えて教えざるをえない。子供たちに『自ら考えて学べ』と教える側が、それを実践しなければ、考えさせることなどムリでしょう?」

詰め込み型の教え方ができないように、物理的な制限を設けたともいえるだろう。もちろん、「フィールドワーク」を通して自ら学ぶムードと習慣が、すでに生徒たちに醸成されていることも自習授業の充実を担保する。図書室はもちろん、渡り廊下に置かれたテーブル、空き教室など、開智ではそこかしこで自習や勉強会にいそしむ生徒たちの姿がある。教務室に飛び込み、先生に疑問や質問を浴び続ける生徒も多い。

「かつては猛者もいて、放課後に10人くらいの生徒を集めて、古典の授業を開く生徒もいましたよ」(溜校長)。こうした「勉強したくなるムード」を生み出していることこそ、開智の強さかもしれない。

面白いのは、学校内の環境が整っているためか、5年生や6年生になってから徐々に「予備校や塾をやめる生徒」が増えることだ。5年生2学期から放課後特別講義を開催し、夏季・冬季には1時間360円と、格安で受験対策の講習も実施していることも大きいだろう。

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