「教えない」が難関大合格者を続出させる秘訣

開智学園の強さの源泉とは?

校舎や備品より人材に投資、ポスドクを積極採用

開智には「先端クラス」と「一貫クラス」の2コースがある。根本的なスタンスは変わらないが、その中で、より“教えない”を貫き、新しい学びの創造を狙っているのが先端クラスで、一貫クラスは比較的通常の中高教育に寄り添いながらも、自学自習の力を磨くカリキュラムが用意されている。「先端クラス、というと世界の難関大学を目指すことを目的にとらえる方がいるが、むしろ先端的な学び方を実践していると思っていただきたい」(溜校長)。

経営面でも先端的というか、ユニークかつ明快な指針を持っている。まずは「埼玉県でいちばん安い学費」を標榜して、受験者を増やしていることだ。初年度納入金は、今年でいえば63万8000円。これは首都圏の私立校でも4番目の安さだという。私立の中高一貫校は初年度納入金が90万円前後かかるのが平均的だが、より優秀な生徒にできるだけ多く来てもらいたいという思いから、学費を安く設定している。学費を低く抑えるために、極力、設備などの費用を抑えている。実際、校舎に入ると、いわゆる新設校にありがちな真新しさやデザイン性は感じさせない。一方で積極投資しているのが人件費だという。

公立・市立を問わず、教職員の給与が低下傾向にある中で、ベースアップはせずとも定期昇給を着実に実現させている。「教えない」という高度な教育を具体化させるためには、牽引する教師の質が第一ということなのだろう。

ポスドク(博士課程を持ちながら、常勤研究職についていない研究者)を積極採用していることも、ユニークかつ先端的だ。「これは理事長の考えで、一般社会が多様なように、学校という社会も教員が単一なのはおかしいのではないかと。積極的に外で研究してきた人間やいろいろな体験を持つ人が教えたほうが、わが校のスタイルに合うだろうと考えたわけです」(溜校長)。こうした経営的な屋台骨も、開智生の質を高める重要な要素になっていそうだ。

教えない。だから伸びる――。誰にでもフィットする教育スタイルとはいえないかもしれない。しかし、“想定外”の世の中を生き抜くには不可欠な学びと、その姿勢を得られる貴重な場であることは確かだろう。

(撮影:尾形 文繁)

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