2014年4月、私が勤める病院の外来診察室に、一冊の本が届きました。
その本とは、著名な日本語学者の山口仲美さんが書かれた『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬舎)。山口さんは、大腸がんと膵臓がんを患いました。その治療の過程で多くの医療者に関わる中、拙著『患者の生き方』が参考になったと、本には感謝の手紙が添えられていました。
山口さんの書かれた本には、病気発覚後から、自分の人脈やインターネット上の情報を駆使しながら、病院や医師を選択することに始まり、医療者と様々にやりとりしてきたことが描かれています。その冒頭を、少しのぞいてみましょう。
がんになった大学教授と「医師アタマ」との闘い
女性が学者として活躍するのが難しかった時代を切り拓いてきた山口さんの、自律と反骨の精神が、患者としての態度にもよく表れています。まさに、この自律する患者像こそが「市民のための患者学」が目指すものなのです。
山口さんは、病気と闘うのと同時に、医療者とも闘ってきました。様々なエピソードがある中でも、特に驚かされたのは、膵臓ガンの手術後のある外科医とのエピソードです。
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