「小賢しい患者はキライ」な医者との闘い方

ときには医者を「教育」する勇気も必要だ

日本語学者の山口仲美さんが出会った外科医は、自律した患者である山口さんを脅すような発言を繰り返しました (写真:アオサン / PIXTA)

2014年4月、私が勤める病院の外来診察室に、一冊の本が届きました。

その本とは、著名な日本語学者の山口仲美さんが書かれた『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬舎)。山口さんは、大腸がんと膵臓がんを患いました。その治療の過程で多くの医療者に関わる中、拙著『患者の生き方』が参考になったと、本には感謝の手紙が添えられていました。

山口さんの書かれた本には、病気発覚後から、自分の人脈やインターネット上の情報を駆使しながら、病院や医師を選択することに始まり、医療者と様々にやりとりしてきたことが描かれています。その冒頭を、少しのぞいてみましょう。

 
考えてみると、こういう患者発信の本が現代ほど必要な時代はありません。現代医療は、以前の「先生にお任せ」といった医者中心の医療ではなく、患者が自分で治療法などを選択しなくてはならない変革期だからです。患者の自己決定権を大切にする医療へと変化しているからです。でも、わたしたち日本人は、長い間「お任せ」医療の中にいましたから、「自分で決めなさい」と言われても、おたおたするばかり。
           山口仲美『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬舎) 9ページ

がんになった大学教授と「医師アタマ」との闘い

女性が学者として活躍するのが難しかった時代を切り拓いてきた山口さんの、自律と反骨の精神が、患者としての態度にもよく表れています。まさに、この自律する患者像こそが「市民のための患者学」が目指すものなのです。

山口さんは、病気と闘うのと同時に、医療者とも闘ってきました。様々なエピソードがある中でも、特に驚かされたのは、膵臓ガンの手術後のある外科医とのエピソードです。

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