「ダビスタ」に集まる競馬人気活性化の期待 生みの親が明かす「異色」育成ゲームの裏側

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パリティビットの薗部博之社長(撮影:梅谷秀司)

当初はギャンブルという認識しかなかったが、血統の配合や生産、調教などを総合的に見て判断する同僚に、競馬の奥深さを感じた。「野球のシミュレーションゲームを作った直後で、次の題材を探していたタイミング。それまで競馬のシミュレーションゲームはなかったので、やってみようと思った」(薗部氏)。

開発にあたっては、市場をマーケティングし、ターゲットを定めることはしない。自分自身が遊びたいと思うものを作るというスタンスを貫いている。「血統なんてマニアックな所に興味を持つ人がどれだけいるのかと、周囲からの期待はまったくなかった」と、薗部氏は当時を振り返る。開発要員が一人だったこともあり、思い立ってから発売までは3年強の期間を要した。

競馬ファンのみならず中高生も巻き込むヒット

ふたを開けてみれば、競馬ファンのみならず、競馬になじみの薄い中高生にも人気となる大ヒット。当初投入された5万本はあっという間に売り切れた。ゲーム攻略本も飛ぶように売れ、100万冊を突破したという。ダビスタの攻略本は通常のゲームとは異なり、ひと言で言えば馬の血統本だ。一般人が血統の本を買っていると、海外メディアの取材を受けたこともある。

その後はスーパーファミコンやプレイステーション、3DSなどで新作が発売され続け、累計販売本数は900万本を超える大ヒットシリーズになっている。11月にはスマートフォン向けに最新作が配信されたばかりだが、任天堂が来春発売する予定の新ゲーム機『Switch』などで展開することも検討しているという。

薗部氏はこれまで70頭ほどを所有してきた著名な馬主でもある。G2レースを6度制したバランスオブゲームなどが代表馬だ。「ゲームとは違って、1勝するのがすごい大変。バランスオブゲーム以降はあんまりですね」と苦笑するが、ゲーム内では競争馬の競りの様子のリアリティを出すなど、馬主ならではのエッセンスも取り入れてきた。「馬主の世界にいると、どの業種が好調なのかがわかる。最近の競り会場では、IT関連の経営者が増え、若い人が多くなってきた」(同)という。

週刊東洋経済は11月21日発売号で『競馬の魔力』を特集。経営者も引き付ける、その奥深さに迫っている。競馬界はここ10年、ディープインパクトやオルフェーヴルなど、サンデーサイレンスの血を引く馬が強い。「最近の競馬は血統のバリエーションが少ないのがさみしい。もっとマニアックな血統の馬に強くなってほしい」(薗部氏)。定番の血統だけではない、アイドルホースの誕生をゲーム界でも待ちわびている。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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