フランス人の結婚観が実は「超堅実」なワケ 「半分以上が婚外子」にはカラクリがあった

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そもそもは、同性カップルのために作られたといわれるPACSですが、今ではその手軽さがウケて、男女のカップルでも使われています。なにしろ、税制や相続では法律婚のカップルとほぼ同等の権利が認められていながら、お別れしたい場合の契約破棄は、一方からの通告のみでOKなのです。

というのも、フランスでは、法律婚を解消したい場合、日本のような協議離婚制度がなく、必ず裁判にかけなければなりません。その手間と費用を考えれば、こちらの手軽さは、なるほど魅力的です。

子どもの権利は、父親の認知があれば、両親がPACSだろうと同棲だろうと、法律婚カップルの子と何も変わりません。その結果、フランスの婚外子はPACS、あるいは同棲カップルの子どもがほとんどなのです。面倒くさがりの私は、この形態こそが、儀式的かつ宗教的で、別れる時に手間暇のかかる結婚制度に代わる日も、近いように思っていました。

実は7割のカップルがきっちり法律婚をしていた

ところが、調べてみるとそうでもないようなのです。少し古い数字ですが、直近の2011年の国勢調査の数字によれば、フランスのカップルの形態は、法律婚73.1:同棲22.6:PACS4.3と、法律婚が圧倒的多数を占めており、PACSは少数派。

PACSの歴史がまだ浅いこともありますが、結婚するまでの“つなぎ”としてこの形態を利用して、結婚する際にPACSを解消するケースが多いからだといわれています。

つまり、生まれは婚外子でも、それから何年かして親が法律的な婚姻をすることで、婚外子から婚内子にチェンジしている子どもが、相当数いるということになります。

有名人の色恋沙汰に興味がないのは、個人主義が発達した成熟社会だからだとすれば、花の都であり恋の都だったパリはどこへいったのでしょうか?生涯の愛をただ1人に捧げるなんて、幻想だと思ってきた者としては、少し残念な気すらしました。

そこで、パリっ子たちにPACSではなく法律婚を選んだ理由は何なのか、疑問をぶつけてみました。すると、こんな意外な答えが返ってきました。

「PACSを選ぶのは自由だし、大賛成だけどね。結婚は、けじめじゃないかな」
「やはり、家族という重みを背負うことを選択したと、周囲にも知らせたくてね」
「同棲でも不満はなかったんだけど、遺族年金のことを考えて結婚にしたわ」

なんたることでしょう!

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