開成、灘高生の「試験に受かる」ためのスキル 地頭だけじゃない!大事なのは「手応え」

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大切なのは「問題の見極め」

問題は復習する価値のある問題とそうではない問題がある。マスターすべき問題と放っておくべき問題がある。この見極めは、受験者全体の正答率によって明らかにすることができる。だから、パパやママは、点数や偏差値に一喜一憂するのではなく、母集団の正答率に注目すべきだ。

とはいえ、点数や偏差値が期待したほどではなかった場合、やはり親心として気になることは、私も十分理解できる。でも、それもあまり問題はない。

子どもたちは日々進化し、成長している。だから、復習した後に、もう一度同じ問題を自宅で解かせたらよい。しっかり復習できているのであれば、模擬試験受験時よりも高得点を残しているはずだ。その点数で順位や偏差値を再換算してみる。その順位や偏差値が、今の子どもの実力だ。模擬試験受験時はまだ力が足りなかったかもしれないが、今は違う。子どもに「今の実力は、ここまで伸びた。頑張った成果だ!」と褒めてあげるとよい。

小学校6年生の子どもの場合、小学校4年生のときに受けた模擬試験を再度解かせてみてもよい。圧倒的に成績がよくなっているだろう。「何を当たり前のことを!」と思われるかもしれないが、それが子どものこの2年間の成長だ。そして、できることなら、目標校の合格可能性がB判定になる偏差値まで、「復習」→「再度解答」を繰り返してほしい。もはや答えを覚えている状態でも構わない。「このくらいできれば合格できるんだ!」という実感がわくし、「時間はかかったけど、合格可能性B判定まで持ってくることができた」という自信につながる。

「このくらいできれば合格できるんだ!」という実感を持つことは、合格に向けてとても重要である。なぜ開成高校や灘高校から大量に東京大学合格者が輩出されるのか? もちろん優秀な学生が集まっているということもあるが、「このくらいの感じだとおそらく合格できるぞ!」という感覚を仲間たちで共有できているからである。

「学校内で80位。現役で東京大学に合格できるのは大体100位までだから、もう少し頑張らないと確実じゃないな!」といったような感覚と、「80位くらいで最後50位くらいに伸ばして、昨年現役で東京大学に合格した先輩は、こんなことやったと言っていたよな。ちょっと真似してみようかな?」といったような感覚だ。

「このくらいで合格できる」「このくらいだともう少し」という感覚は、開成高校や灘高校の学生でなくても、模擬試験をフルに賞味することで養うことができる。

いかがだっただろうか。「3C分析」というビジネスフレームワークは、ビジネスの最前線で現状分析に使えるだけではない。ライバルがいる状況であれば、ビジネスであれ、受験勉強であれ、活用することができる。ぜひ、ビジネスの最前線で活躍しているパパやママには、模擬試験の価値最大化のために活用していただきたい。

次回の連載は7月である。夏休みも近づいてきた。そこで「プロジェクトマネジメント」スキルを活用し、子どもの夏休みの計画をどのように立てていったらよいのかを検討していこう。

牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

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まきた ゆきひろ / Yukihiro Makita

1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループなどを経て、2003年日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。2007年准教授。2018年より現職。名古屋商科大学では5年連続ティーチング・アウォード受賞。著書に『デジタルマーケティングの教科書――5つの進化とフレームワーク』(東洋経済新報社)などがある。

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