図抜ける受験生は、模擬試験終了後からが本番だとわかっている。もちろん疲れている。全力を尽くして模擬試験を受けているのだから。しかし、そこからさらに踏ん張って、解答・解説を読み込む。つい先ほどまで受けていた試験なので記憶もフレッシュ。自分は何ができて何をできなかったのか、痛いほどよくわかる。
この痛みを感じるというのが重要で、「しまった! 失敗した! でも、こうすればよかったのか!」とわかれば、次回から同じ失敗を繰り返す可能性は激減する。間違えるのは仕方がない。しかし、同じ間違いを繰り返す可能性を最小化するというのが、模擬試験活用の価値最大化なのである。
ひと踏ん張りが左右する
このような最後のひと踏ん張りをする受験生は、母集団の中から図抜けていく。多くの受験生が模擬試験を受けるだけで、価値最大化が図れていない=同じ間違いを繰り返す可能性が高い中で、模擬試験を完全に賞味し、同じ間違いを繰り返す可能性を最小化する=成績が向上するからだ。
一方、前回の連載でも解説してきたように、パパやママは点数や偏差値に一喜一憂してはいけない。点数や偏差値は、その意味を注意深く観察しないと誤解する可能性が高いからだ。
それよりも正答率に注目する。多くの模擬試験の結果には正答率が掲載されている。受験者全体の正答率が90%だとか、52%、18%などと。その受験者全体の正答率と自分の子どもの解答を比較する。受験者全体の正答率が90%なのに、自分の子どもが間違えているのであれば、これは絶対にできるようにする。
受験者全体の正答率が52%の問題も、やや難しい問題だろうが、これもマスターできなければならない。一方で、受験者全体の正答率が18%の問題は2度と見なくて構わない。できなくても、合格するには問題とならない難問だからだ。
このように受験者全体の正答率と自分の子どもの解答を比較することで、復習の優先順位をつけることができる。ビジネスの最前線で活躍するパパやママは、自分のタスクを処理するときも、部下に仕事を振るときにも、必ずタスク処理の優先順位づけをしているはずだ。それと同じである。
正答率18%の問題を5時間かけて復習して、それでもわからなかったとする。その復習のROI(投下資本利益率)は、極めて低い。同じ5時間を正答率52%の問題の復習や、正答率40%前後の問題の復習に費やし確実にマスターしたほうが、ROIの観点から言えばはるかに生産性が高い。
大切なことは、つねに母集団=ライバル=競合と、自分=自社を比較する「3C分析」の視点を持つことだ。母集団の多くができることは、自分も必ずできるようにする。母集団の50%ができることも必ずできるようにする。これで倍率2倍の試験であれば合格できる。
さらに、正答率40%の問題もマスターする。これで倍率3倍の試験も、おおよそ合格できるようになる。
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