――若い世代を取り上げることに社内的な障壁はなかったのですか。
全くありませんでした。NHK教育番組は、古くは「若い広場」、糸井重里さんが司会をしていた「YOU」や「しゃべり場」と演出は変わっても、つねにスタジオを若い人に開放しようという伝統がありました。僕自身、この番組をやっていて複雑な気分なのは、30年前にこんな番組があればいいなと思っていたものがカタチになっている(笑)。
――反響はいかがですか。
初回は本当に大きな反響がありました。最近では、若い人が自主的にツイッターで呼びかけて何十人もカフェに集まり、サッカーのようにこの番組を「パブリックビューイング」しているという話を聞きました。知らない人たちが集まり、テレビを見ながらツイートをしているという不思議な空間が広がっています。ソーシャルメディアも含めた広がり方は想像できなかったので、新鮮であると同時にうれしい結果でした。実際、これからのテレビ番組は番組だけで完結せずに、インターネットやソーシャルメディア上でも広がりをもち、カメラが入らなくてもイベントがあるという形に広がりをもっていくのではないかと思っています。
――6月放送の番組は公開収録。新しい取り組みです。
これまでもヤフーとコラボをしてインターネット上でアンケートに答える形で議論に参加してもらったり、収録時に100人ほど別室で見てもらって意見をもらって反映させるなど、視聴者参加型はやってきました。今回は、明治大学で他大学の学生や社会人の方も含めて300人で公開収録しました。とにかく開かれた場所で多くの人に参加してもらいたいのです。
「英語でしゃべらナイト」という原点
――5月の放送「“いいね”時代のツナガリ論」では歴史学者の與那覇潤さんがゲストに出ているなど「このテーマにこの人が?」という人選をしていますが、意図的にやっていらっしゃるのですか。
はい。テーマに合わせて詳しい人たちだけを入れると結論が見えてしまいますし、もともと無意識的に違う「位相」を持った人が話すことによって広がりが生まれると思う癖はあります。これまでプロデューサーとして携わってきた「爆笑問題のニッポンの教養」「英語でしゃべらナイト」の体験が大きいですね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら