極限的に忙しい仕事人のリアル「断捨離」術 殿堂入りアナリストはこう考えてきた

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ワードやエクセルファイルだけではなく、これまでペーパーベースで保管していたような文書もPDFファイルにして保存するようにします。

こうした情報やデータの整理を行うことで、スペースが空くばかりでなく検索能力が格段に高まります。必要であれば、頻繁に使うフォルダのショートカットをつくっておくのもよいと思います。こうした工夫をすれば、「あの書類やファイルはどこにしまったか」というような探す時間が不要になります。

自分にとって大切なもののために、見つめ直すことも

【しあわせの定点観測 ⇒ 時間の配分と割り当てを見直す】

『超一流アナリストの技法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ここまでは、いかに「持たない」ことで時間を捻出するかということを中心に述べました。最後に、時間をしあわせ(充実感など)にどう結びつけるかについてお話したいと思います。

人は仕事に没頭すると、ほかの大切な何か見失うことがあります。友人や家族、社会的活動、心を豊かにする趣味など、仕事に目を奪われているうちに失って、その大切さに気づくことが少なくありません。

自分が向かい合う対象はひとつではありません。自分が仕事を含め、さまざまなものと向き合っている姿を、ときどき上空から鳥瞰してみましょう。

その結果、肩の力を抜いて仕事とオフのアロケーションを見直す、つまり「手を抜く」「捨てるべきものは捨てる」というレビューをする必要があるのではないかと思います。

少し蛇足的なお話になりますが、一般のビジネスパーソンに取引先などとの接待があるように、アナリストの世界でも、営業部門からのリクエストなどにより顧客とのディナー・ミーティングをこなすことが少なくありません。私は、それらを基本的にすべてお断りしていました。ディナー・ミーティングは、アルコールを入れながら顧客との距離を縮める有効手段であるという側面もありますが、通常のミーティングが最大1時間であるとすれば、その時間と、その他の業務に費やす時間、あるいはプライベートの時間の犠牲などを比較した結果、私はディナー・ミーティングに費やす時間を捨てるという判断をしました。

下の表に、私が実践している1日の時間配分のレビュー例をあげておきます。参考にしてみてください。

野﨑氏が実践している俯瞰の一例(出所:『超一流アナリストの技法』)

いまを生きる指針の中心は「幸福」にあると思います。自分の幸せから始めてそれを身近な人たちの幸せ、そしてそれがより大きな範囲に広がれば何よりです。より多くの人に、動き方、考え方ひとつで、その目的がかなうことを実感してほしいと思います。

野﨑 浩成 京都文教大学総合社会学部教授

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のざき ひろなり / Hironari Nozaki

1991年エール大学経営大学院修了。埼玉銀行、HSBC、シティーグループ証券マネージングディレクターなどを経て2015年4月より現職。010年日経アナリストランキング総合1位(全産業)、日経アナリストランキング1位(銀行部門、2015年まで11年連続)、インスティテューショナル・インベスター誌1位(銀行部門、2013年まで10年連続)。2015年金融審議会専門委員。

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