人類は、一体いつから文字を使い始めたのか 氷河期の洞窟に残された32の記号の正体
氷河期の洞窟における大きな謎である幾何学記号の研究は、これまで「解明するのが難しい」ということで放置されてきたところがあります。3万年前の人がなぜその記号を書いたのか? 記号が何を意味するのか? というのは、当時の人類に聞くことも出来ないのでとても難しい問題です。みんなが避けてきたことに、彼女は真正面からチャレンジしています。
氷河期の芸術とシャーマニズムの関連性
実際に、データベースを作ることでこれまで検証できなかったことができるようになりました。本書の最後の章で、彼女は自らのデータベースを使って「シャーマニズム説」を検討しています。
トランス状態に入って超自然的存在と交信するシャーマン。氷河期の芸術とシャーマニズムの関連性はこれまでも指摘されてきましたが、彼女はデータベースを頼りに幾何学記号がこのスピリチュアルな信仰によって描かれたものかどうか、を検証します。
これはデータベースを構築したからこそ初めて可能になったこと。「面白そうだけど、しょせん分かりっこないから」と投げ出さずに、地道に研究をする。科学の研究は「やられていないことをやる」のが基本ですが、難しい問いに果敢に、かつ地道に迫る彼女のアプローチは高く評価できます。
ペッツィンガーの研究の一端を紹介したTEDトークは世界で225万回視聴されていると聞きました。人類学の専門家以外にも関心が広がっています。
ラスコー洞窟の非常に躍動的な動物画もそうですが、氷河期の人類の思考や芸術には本当に驚かされるものがあります。彼らの高度な思考に触れることで、数万年前の人類は"原始人"だったというイメージがきっと覆されることでしょう。人類の起源に触れることで視野を広げてみてはいかがでしょうか。
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