人類は、一体いつから文字を使い始めたのか 氷河期の洞窟に残された32の記号の正体
幾何学記号の全体像を把握することに挑戦
ラスコーやアルタミラといった氷河期ヨーロッパの洞窟壁画。そこにはウシやウマの動物画とともに、実は不思議な幾何学記号が描かれています。星や羽のような形をしたものや屋舎形と呼ばれるもの、W字形、Y字形など、謎の記号が動物の脇に刻まれているんです。
そしてそういった記号がヨーロッパの色んな洞窟で見つかっています。しかし誰もが気にしつつも、これまで記号の謎を解こうとする体系的な研究はありませんでした。
カナダ人の女性人類学者ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガーは学部生のときに、世界で誰も本格的に幾何学記号を研究していないことに気づきます。そしてヨーロッパ全体350カ所以上の洞窟の幾何学記号のデータを集めて、データが足りないところは自ら暗い洞窟を探検して記号を確かめる。そうやって50カ所以上の洞窟に潜って、世界で初めて氷河期の幾何学記号のデータベースを構築しました。データベースを作ることで、幾何学記号の全体像を把握することに挑戦したのです。
そこから彼女が導き出したのは氷河期の3万年という期間に、ヨーロッパ全体で幾何学記号がわずか32種類しか使われていなかったということ。「32種類に絞られたのは、この記号がコミュニケーションツールとして使われていたから」で文字の萌芽がこの時代にあったと彼女は推測しています。
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