ちなみにマツダスタジアムの総工費は約80億円。同じ計算をすればわかりますが、おおざっぱにいえば札幌ドームの約6分の1の200万円程度の利益が上がればいい勘定。カープの使用料、及び球場での飲食の売り上げなどで十分採算が取れる範囲です。
冬の間は観客動員が非常に難しいであろう、あの札幌ドームを今後どうやって維持していくというのでしょうか。冬でも暖かく快適だというのはわかりますが、最大の収入源である野球は冬にはやりません。
こういった地方経済の発展にいかに貢献するか、という地方再生という観点から見ても、ここは広島の圧勝ですね。もちろん歴史が違うというのはあるでしょう。しかし、野球を「一つの地方ビジネス」とみなして、そこで如何に収益を上げていくのか、という観点があればこういう施設は作らなかったはずです。
一方で野球というコンテンツの価値を最大限に上げることにこだわった広島の決断は見事だったと思います。実際にマツダスタジアムができてから、観客動員数もグッズの売り上げも右肩上がりなのですから、結果は明らかです。アメリカの野球ファンの間でもマツダスタジアムは有名で、多くのアメリカ人が観光のついでにマツダスタジアムを訪れるのは偶然ではないのです。
「分不相応の大型施設」を作るのは「大罪」に等しい
いつも言うことですが、まずはその施設の維持管理費を賄って行けるかどうか、という民間では当たり前の採算という考え方が何にもまして絶対に必要なのです。市民の娯楽だからそれは公的資金で賄えばいい、という人がいますが、最後、それを払うのは「ほかの地域の国民」になるのです。ほかの地域の人にツケを回して分不相応の大型施設をつくるなど、もはや「犯罪のレベル」です。そんなものを日本全国で維持管理していく余裕はもはやありません。
札幌の方には本当に申し訳ないのですが、せっかく野球というすばらしいコンテンツがあるのに、それを活用してビジネスを展開し収益を上げていない、というのであればそれは宝の持ち腐れでしょう。数少ないプロ野球のフランチャイズ都市として、失礼ながら札幌は努力する必要がありそうです。
「親会社があるのでまあいいや」、と思っているかもしれませんが、こんな球場だと日ハムもいつまでここでフランチャイズを持つかわかりませんよ。そうなったら札幌ドームはまさに「墓標」。まさか爆破するわけにもいかないんですから、他の都市はこういう施設はもう作らない、という他山の石にして頂きたい、と思います。
追記)これでワタクシ、夜の札幌を歩けなくなりました(苦笑)。
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