勝負には負けたが「広島圧勝」と言える理由 「地方再生」では広島が勝っている

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さて、ずっと野球の話をするわけにもいかないのでスポーツと地方創生、という切り口を投入したいと思います。

広島の圧勝だった「広島VS札幌」の地方対決

今回の対戦には東京のチームがおらず、いわば地方対決となったわけですね。

広島は町中、デパート、銀行はほぼすべて横断幕を掲げ、バス、タクシー、その辺のクリーニング屋さんに至るまで「カープ優勝!」というステッカーを張り、ビルの建設現場にまでも「優勝おめでとう」の幕が張られていたりする。もう、町中がカープ1色になっています。ローカルのラジオ、テレビなどではそれこそ朝から晩まですべてカープの話題が満載で、もう一日がカープ中心に回っているというのが全く冗談ではないのです。その盛り上がりはすごい。

この勢いで札幌に行って見ると……驚いたことに日ハムの文字を探すのにひと苦労。さすがに球場そばのイトーヨーカドーでは「日ハムリーグ制覇!」という旗を見ました、これが実に地味。

札幌市内では、ここで日本シリーズがあるとはどう見ても思えないわけです。この「市民への浸透度」という点では広島の圧勝です。

前にも書いた通り、広島は老若男女、すべての市民が応援していると言っても過言ではありません。実際CS、日本シリーズの視聴率は平均で50%を軽く超え、CSの最終戦の瞬間視聴率は70%を超える、という驚異の数字。これはもう大人はほぼ100%見ている、と言っても過言ではありません。まあ、日本ハムが札幌に来てまだ日が浅いということを割り引いても、ここはカープの圧勝です。

このカープ人気を支えているのがマツダスタジアム。このスタジアムに関しては、地方創生に関する非常に重要なピースなので、ひとこと言っておきたいわけです。

マツダスタジアムは完全に「ボールパーク」として設計されています。つまり野球を見るためのスタジアムというスペシャルな存在なわけです。

実は元々は札幌のような全天候型の5万人収容のドーム球場が計画されていて、総額350億円の予算が付いたのですが、「そんなものを維持するような使用料は絶対に払わないし、アメリカにあるボールパークを作るべきだ!」と、最後までこだわった松田オーナーの主張があったのです。

また、維持管理費を考えると、この施設を維持することが難しいのでは、という金融機関の意向も大きく働きました。通常だと「補助金が出るからいいや」、とばかりにとんでもない施設をつくるということをしなかった。結果的に数々のソフトコンテンツを駆使し、例えば球場のコンコースを一周ぐるっと歩けるようにつなげたためにさらに野球が見やすい、という大きな財産を得て、観客動員数の増加にも貢献しています。

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