ケタ違いに成長する中国のネット企業
この1年間を振り返ってみると、中国のネット系BtoCの企業は大きく成長しており、テンセントはその典型例です。ほんの3~4年前まではヤフージャパンの利益額の10分の1、5分の1程度の水準でした。ヤフージャパンや楽天、DeNAの成長率は、1ケタないしは10%強ですが、テンセント、および中国のインターネット企業は年間30~50%の勢いで成長しています。
ここ最近、「消費の回復力が弱い」という報道が中国に関して多いのですが、Eコマースを見ていると、GDPの伸びを超えて、それ以上に内需が拡大しています
政府系の報告書によると、Eコマースは昨年、対前年66%の伸び、日本円で約20兆円の売り上げで、中国の社会消費全体の約5%を占めたそうです。中国では今年、最大の小売企業がタオバオ、第2位が同じオンライン専業の京東商城となり、既存のオフライン型の小売りを追い抜きそうな勢いです。
日本でも楽天やアマゾンの規模拡大が叫ばれていますが、さすがにセブン‐イレブンやイオンの規模ではないことを考えると、中国と日本ではインターネットの持つ社会的な意味が、かなり違うことがよくわかります。リアルの小売り業者に会うと、大都市圏を中心に出店している方ほど「売り上げの調子が良くない」と言いますが、こうしたネット企業の隆盛の規模を考えると、景気というよりはネットによる代替効果が相当大きいと推測できます。
携帯の7割がスマホに
中国におけるスマホの普及率も急速に伸びています。ニールセンのデータによると、中国都市部のスマホの普及率は韓国に次いで世界第2位です。昨年1年間でなんと2億1300万台のスマホが販売され、今では中国の携帯電話の7割がスマホとなっています。台数で見るとアメリカを超え、世界第1位です。
となると当然、モバイルコマースも活発になり、モバイル上のコミュニケーションも活発になります。実際、今、モバイルアプリケーションのダウンロード数がいちばん多いのは中国です。
そうした流れの中で今、最も大きく伸びているモバイルのプラットフォームがテンセントの「WeChat」というわけです。テンセントはネット黎明期に創業し、チャット機能のシステム自体はすでに13年以上ありますが、その間のさまざまなパラダイムシフトに機敏に対応してきました。ネットカフェにしかパソコンがなかった時代から、パソコンが個人に持たれるようになり、ガラケーが生まれ、スマホが登場しました。どのプラットフォームに移行しても、つねにコミュニケーションの中心にい続けています。
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