クリントン氏のメール問題はどれほど深刻か 日本株は予想以上に堅調だがなお下落リスク
相場は「予想以上」に堅調だが、なお下振れに警戒
当コラムでは、11月上旬に向けて、日経平均株価が1万5000円水準を目指して下落する、という予想を紹介してきた。その主な理由は、米国株価の予想PER(株価収益率)で見た割高さ、米大統領選挙に向けての不透明感、米国側から米ドル高けん制の姿勢が打ち出される可能性、国内企業の7~9月期決算の不振などであった。
しかし実際には、足元までは日経平均が上昇気味で推移し、1万7500円に迫る展開となった。警戒していた為替相場の米ドル安・円高についても、逆に円安となり、105円台を一時つけるような推移であった。当コラムの読者の皆様には、ご心配、ご迷惑をおかけし、大変心苦しく感じている。
大きな不透明要因である、米大統領選挙は11月8日(火)に結果が定まる。その頃までには国内企業の決算発表も一巡してしまうので、国内株価の大幅な調整が起こるとすれば、それまでだと考えている。現在の日経平均の水準を考えると、今から11月初旬までに1万5000円台に突入する可能性は、トランプ候補が大統領にでもならない限り、ほとんどなくなってしまった。
ただし目先は、一本調子で国内株価が上伸し続けることは極めて難しいと予想しており、投資環境から考えると、日本株の足腰はまだぜい弱だ。
米国株価の予想PERは、引き続き近年のレンジの上限より高い水準にある。実際にニューヨークダウ工業株指数は、高PER調整の色合いを強め、8月半ばをピークとした、上値切り下がり基調だ。10月初までは堅調であったナスダック総合指数も、足元で崩れを大きくしてきている。こうした米国株価の軟調展開が当面持続しそうで、それが日本株の上値抑制要因となりそうだ。
米国株価の下落がまだ続きそうな要因として、まず政治面の不透明感が挙げられる。3回のテレビ討論会を経て、クリントン候補の優位が強まっているが、前週末の金曜日(10月28日)には、クリントン氏が国務長官時代に使っていた新しいメールが見つかったとして、私用メールを公務に使っていた問題を、FBI(米連邦捜査局)が再捜査すると報じられた。
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