「ヒラリー大統領」後のアメリカはどうなるか 予想される「3つのシナリオ」を検証してみる

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もっとも議会共和党の協力が得られなかったのは、今のオバマ大統領も同様である。そのほとんど唯一の例外がTPPの議会承認であったのだが、それも最近では怪しくなってきた。年内のいわゆる「レイムダック議会」において、アメリカがTPP批准を決められるかと言えば、政治日程的にはかなり厳しいと言わざるを得ない。

議会は選挙後の11月16日に召集され、12月14日にはクリスマス休暇に入ってしまう。さらにこの間には、11月末の感謝祭休暇があるので実質3週間しかない。この間に米議会は歳出法案を通さねばならない。

アメリカの新財政年度は10月1日から始まっているのだが、その分は12月9日までの暫定予算という形で処理している。この日までに新しい歳出法案が通らないと、例の「政府閉鎖」という混乱状況が待っている。

さらに今年2月に空席ができた最高裁判事の承認という極めてセンシティブな問題があり、これを迅速に片づけなければならない。さて、TPPまで手が回るかどうか。

日本はアメリカの次期政権に「圧力」をかけられるか?

日本政府は先陣を切ってTPPを国会で承認し、交渉参加12か国の「お手本」となることを目指している。欧米で反グローバル旋風が吹き荒れている中で、日本が自由貿易の旗を振っている、というのはちょっとした「奇観」であろう。

もっともこれには、「アメリカ次期政権によるTPP再交渉要求を受け入れない」という思惑も隠れている。いずれにせよ、日本や豪州、カナダやメキシコなど他の交渉参加国が先に批准を済ませ、アメリカの次期政権に対して圧力をかけるという図式になるだろう。

前回の寄稿で筆者は、トランプ政権が発足した場合でもそんなに勝手なことはできないから、おみくじで言えば「末吉」くらいと結論した。逆にクリントン政権発足の場合も、いくら理想が高くてもそんなに大胆なことはできないので、こちらはせいぜい「小吉」といったところであろうか…。
今後の米国の政治日程をおさらいしておこう。

○今後の米国政治日程

11/8  大統領および議会選挙の投票日
―開票結果が出るのは日本時間で11月9日午前
―政権引き継ぎ期間となり、新閣僚人事が進行

11/14 上下両院が開会(レイムダック議会の始まり)
―最高裁判事指名承認(メリック・ガーランド判事を承認へ)
―新財政年度にむけて歳出法案審議が必要(暫定予算は12/9に失効)
―果たしてTPP批准の議論は間に合うか?

12/13-14 FOMC(利上げの公算大)

12/16 議会がクリスマス休暇入り

<2017年>
1/3 新議員が議会に初登庁、第115議会が発足
1/20 大統領就任式=第45代大統領が誕生。正午に就任演説

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