「2期6年」の意味は何だったのか?
与党、自由民主党で、妙な話が進行しつつある。党の総裁任期はこれまで「2期6年」とされていた規定を延長する案が唐突に検討されている。高村副総裁が任期延長案を提示するようだが、「3期9年」が落とし所になりそうだ。
端的に言って、「安倍晋三首相が2020年の東京オリンピックまで在任できるように」ということか。党をあげて「安倍スーパー・マリオ」(巷では「アベマリオ」とも、リオ五輪でサプライズ登場)の顔を立てようということらしい。
目下、自民党内に、安倍総裁に対抗しうる有力者の影が見えない。閣外に出た石破茂氏が党員にある程度の人気を持っているとしても、前職で安倍内閣に取り込まれていたあたりの政治勘の悪さを考えると「格下感」が否めないし、ここまで無難に要職をこなしてきた岸田文雄外務大臣も、安倍氏とガチで戦ってまで総裁・首相を目指す実力・胆力があるようには見えない。
しかし、もともと「2期6年」と総裁の任期を決めた理由は何で、それを今修正する意味がどこにあるのかと問うと、整合的な理由は見つからない。
加えて、安倍総裁の任期は2018年9月なので、本当に必要性があるなら、その直前に判断しても良さそうな話を「今」決めるというところにも納得性が乏しい。
トップとその取り巻きがいったん、力、即ち「人事権」を持つと、それ以下の人々がトップに逆らえなくなって、トップの顔色を覗うような構図は、企業でも官庁でも組織にはよくあることだ。
銀行、官庁など、「人事こそが至上の価値」である組織は、そうなりやすい。自民党も組織であり、政治家もサラリーマン同様人事が大事な職業だ。会社で言うなら、社長にゴマを擦りたい役員が社長の任期延長案を取締役会にかけようとしているような状況なのだろう。
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