日産はなぜ「ららぽーと」でクルマを売るのか ロードサイドの大型店で売る時代は終わった
10月6日に開業したばかりのショッピングモール「ららぽーと湘南平塚」。施設の1階には「モンベル」や「スノーピーク」などアウトドア用品店やフルーツジュースの専門店が並ぶ中、唐突に目に飛び込んでくるのが、車のディーラーだ。ここは日産自動車が新たに設けた販売店である。
「車を見てもらうには、ディーラーで座って待っていてはダメ。お客様のいるところに出ていくしかない」
日産が商業施設の中に販売店を開設したのは初めてのこと。同社で国内営業を担当する星野朝子専務執行役員は、自社商品と顧客との接点を増やす必要性を強調する。日産が目指したのは幹線道路沿いにある既存の販売店とは対照的に、買い物のついでに気軽に立ち寄れる「敷居の低い」店だ。
敷居の低さでファミリー層を狙う
ソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」が入口で出迎え、店の奥には子どもが遊べるスペースもある。今後は周囲のアウトドア用品店との共同展示など、大型商業施設のテナントとしての強みを生かす考えだ。
店舗には常時2~3台の車を置く。運営は地元の販売会社、日産サティオ湘南が担い、3~4人の販売員が常駐する。既存店の多くは営業時間が夜7時までだが、ここでは入居するららぽーとに合わせて夜9時まで営業し利便性を高めている。
なぜ日産は新たなタイプの店舗をららぽーとに出店したのか。1つには「ららぽーとのターゲット顧客層が日産の顧客層とも重なった」(運営主体の三井不動産)ことが大きい。ららぽーと湘南平塚が狙う20代~40代は、半径10km圏内の人口のうち4割を占める。
日産側にしても、たとえば新型ミニバンの「セレナ」では発売から1か月の受注で、30代と40代の購入者が全体の6割以上を占めている。主力商品であるミニバンはファミリー層に人気が高く、子育て世代の買い物客が多いららぽーとはうってつけの場所ともいえる。
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