楠木:そうすると、エンジニアというのは非常に人間的で純粋な部分がそのままある人たちで、そこがお好きだと。
石黒:そう。私が好きになる人は全部、理系ですね(笑)。
楠木:良しあしではなくあくまでも好き嫌いという前提ですが、「インベストメントバンカーであり、ネゴシエーションばりばり、クロージングに向けてディールメイキングまっしぐら」みたいなぎらぎらの肉食系はいかがでしょう。あくまで一例として申し上げたのですけど(笑)。世慣れたビジネスパーソンみたいなタイプは、好き嫌いでいうとわりと嫌いということでしょうか。
石黒:先生、また、極論に走っていませんか? そうですね、でも、やはり私の好みとしては、対極にありますね。世の中には必要ですが(笑)。
楠木:意外ですよね。しつこいようですが、パッと見の石黒さんのイメージからすると、一緒になってバスローブでワイングラスを回しながらシガーとかやっている肉食系が好みじゃないかという……。
石黒:また違うイメージが(笑)。
ウェルチより「ギーク」が好き
楠木:スタンフォードにいらしたのは、どんぴしゃりですよね。世界のギーク大集合。
石黒:まさに夢のような世界です。ビジネススクールにはギークをなんとかしようとしているビジネス系がいますけれど、30%ぐらいはエンジニア出身ですし、工学部に行けばギークしかいないから。
楠木:以前のインタビュー記事で見たのですが、趣味は恋愛でいらっしゃるとか。そういうことを言うと、それを聞いた明らかに対象外のオジさまたちまで勝手に喜んでいたと思いますよ。仕事上ではなく、恋愛の対象としてもギークタイプのエンジニアがお好きですか? なんだかアイドル歌手のインタビューみたいになってきましたが(笑)。
石黒:もう絶対にエンジニアですね。今までビジネス系の方とお付き合いしたことがないです。今はビジネスをやっていても、理系のバックグラウンドがある方とか。
楠木:でも、エンジニアだったら誰でもいいってわけじゃないですね?
石黒:当たり前じゃないですか、いろんな意味で(笑)。
楠木:こういうエンジニアはちょっとな、っていうのはありますか?
石黒:うーん、たぶん全員、面倒くさいですよ。理解できないほど難しいコンピュータ理論についてひたすらしゃべり続けたり、逆にまったく何もしゃべってくれなかったりするので。仲良くなると、これがまた大変です。とにかく話を聞かなくちゃいけない。仕事上の付き合いで言えば、私はビジネス系なので要点だけ2割くらい教えてほしいのに、「この製品のことを10割以上知ってくれ。聞いてくれ、聞いてくれ」って話が止まらなくて時間がなくなるみたいな。開発に至った経緯とか、「それ要らないから」ということを延々と聞かないとダメ。でもまあ、そういう人が好きですね。
楠木:じゃあ「エンジニアとの付き合い方」という本を書かれたら、世の中の役に立つのでは?
石黒:トライはしていませんけど、そうかもしれませんね(笑)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら