その当時は学生時代に夢見た職場が現実と違うと感じたら、
「ほかに、もっといい職場があるに違いない」
と青い鳥を求めて転職するのも当たり前。こうした再挑戦を目指す転職が《リベンジ転職》というキーワードで話題になりました。それからわずか5~6年後に、若手の志向が180度変わってしまうものなのでしょうか?
ちなみに厚生労働省の発表によると学校を卒業し企業に就職したあとで3年以内に辞める若者の離職率が高水準であったのは1995年ごろから約10年余り。ところが離職率は2004年ごろから減少傾向になってきたようです。
それを裏付けるように、リクルート社の「就職プロセス調査『望む働き方』」によると「できれば新卒で入社した会社にずっと勤めたい」と考える新入社員が2006年から急増しています。2005年入社組では、その傾向が長い間50%前後で推移していたのが翌年から上昇を続けて、現在では約80%と高い数字になっています。
余談ですが「リベンジ」という言葉を広めたのは、西武ライオンズ(当時)の松坂大輔選手。格闘技好きでもあった松坂選手が、対千葉ロッテ戦で黒木選手と投げ合い敗北した後に「リベンジします」と宣言して、再び投げ合って勝ったことで話題に。もともとは格闘技で「雪辱する」「再挑戦」の意味でも使われていたのですが、松坂選手の発言で流行語大賞の受賞者に選ばれるほど認知度が高まりました。
当時、そんなリベンジ転職する若手社員たちと、当方はたくさん接触する機会がありました。リクルート社のグループ会社で人材紹介事業にかかわり、たとえば
「総合商社に行きたかった夢をあきらめきれません」
と、入社3年目までの若手社員が、可能性を求めて転職する光景が当たり前のようにありました。企業からは『ポテンシャル採用』と呼ばれるジャンルで、
「potential=可能性がある、潜在的な」
つまり、その人材が入社してからどれだけ伸びるか、どのような潜在能力を持っているかという可能性を見極め、将来的な活躍を期待しての採用。スキルや実務経験(職務経歴)が問われる一般的な転職=キャリア採用とは異なり、コミュニケーション能力(あるいはリーダーシップ)、社会的常識が重視される採用方式です。そのため、学生時代をどう過ごしてきたか、対人・交友関係はどうであるか、仕事への情熱はどの程度かといったことが選考ポイントで重視されます。
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