NHKの受信料、「支払い義務化」はできるのか 「ワンセグ携帯裁判」では契約義務なし判決

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ただし義務化は簡単ではない。ワンセグ携帯への受信料徴収でもさまざまな議論がある。国民的な合意を得るには丁寧な説明が不可欠だ。

そして最大のハードルは、NHKのガバナンスだろう。

2004年、プロデューサーによる制作費の着服事件が発覚した際は、契約者による抗議の不払いが広まった。支払率は翌年度に69%まで落ち込んでいる。足元でも不祥事は止まらない。子会社のNHKアイテックでは、昨年12月と今年1月に社員の着服事件が発覚。9月には静岡放送局副局長が高校生の自転車を盗み、逮捕されたばかりだ。

総務省の検討会でも、番組制作費など支出面で第三者によるチェック体制を構築したり、外部の専門家の視点を経営に反映したりすべき、といった指摘が相次いだ。

NHKの受信料は「割高」

総務省は今後、NHKのあり方について集中的に議論を進める。放送法の改正案は2018年度以降の通常国会に提出される見通しだ。だがそれには、NHKがどれだけ襟を正すことができるのか、自らガバナンスの強化策を示すことが大前提となる。

近年は米ネットフリックスなど海外の有料動画配信サービスが続々と日本に上陸、携帯会社や民放各局の動画配信も本格化している。しかも、多くのサービスが月額500〜1000円程度で利用できる。一方、NHKの地上波契約は月額1260円(口座振り込み、クレジット払いの場合)、衛星契約は同2230円と高額だ。

NHKは「特定の利益や視聴率に左右されず、多様で良質な番組を放送すること」が自らの役割と主張している。ネット配信が急速に広まる中で、多くの国民を納得させる番組を供給し続けることができるのか。自らを変える覚悟が問われている。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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