五輪に茶の間は熱狂、でもテレビ局は「赤字」 高騰する放映権料、次の東京は660億円に

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リオ五輪・女子レスリングで4連覇を逃した吉田沙保里選手の涙に、お茶の間は感動したが・・・(写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ)

日本勢の活躍で大いに盛り上がったリオデジャネイロ五輪。水泳の萩野公介選手や体操の内村航平選手など、日本は金メダルを12個獲得。合計メダル数は41と過去最多を記録した。レスリングや柔道、卓球での逆転劇で、テレビ画面にくぎ付けになった人も多いだろう。

ビデオリサーチによると関東地区の視聴率は、競泳男子400メートル個人メドレー決勝が22%(8月7日午前・NHK)、女子マラソンは22.6%(14日夜・TBS)、卓球男子団体決勝が19.1%(18日午前・NHK)。注目度の高い種目は、昼夜を問わず見られていたと思われる。

しかし、好調な数字とは対照的に、テレビ局にとって五輪は頭の痛い問題でもある。五輪中継はNHKと民放各社が局の枠組みを超えて共同制作している。この共同組織はジャパンコンソーシアム(JC)と呼ばれる。各局はアナウンサーや撮影スタッフを現地に派遣して、日本チームとして番組を制作・配信。オリンピック放送機構による国際映像とJCの映像に、各局が独自の中継や取材を加えて放送しているのだ。

スポット広告減など編成の負担も

スタッフの派遣だけでも相当な負担だが、問題はテレビ中継のために支払う放映権料だ。こちらも、JCが国際オリンピック委員会(IOC)から購入、各局で負担する。

2012年、ロンドン五輪の放映権料はバンクーバー冬季五輪と合わせ、325億円だった。ただ今回のリオは360億円、2020年の東京五輪に至っては660億円にまで高騰している。2024年の五輪は440億円に落ち着くが、依然として高水準だ。

採算が厳しいのは、高額の放映権料に加え、編成上の理由もある。五輪中継は通常と異なる特別番組が組まれるため、番組と番組の間に流す、スポット広告の枠が減ってしまう。実際、日本民間放送連盟(民放連)は前回のロンドン五輪において、番組放映に関する収支が赤字だったことを明らかにしている。

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